OMNIBUS
箸休めでもあり、スタンダード・ナンバーの辞書でもある
"BEST JAZZ PIANO STANDARDS 100"

オムニバス盤である。
タイトル通り、このCDにはピアノ・トリオの演奏を中心とした100曲のスタンダード・ナンバーが詰まっている。CDの枚数にして6枚。標準価格がなんと3500円。このアルバムを僕が昨年の12月にamazonでゲットしたときの実勢価格が、なんと2645円。1曲あたりにするとわずか26円だ。たった2645円で100曲の演奏が楽しめて、なおかつ、それを何回も繰り返して聴くことが出来るなんて安過ぎはしないか。通常のCD1枚分の価格で6枚のCDが入っているとなればお買い得感満載だ。
録音時期は1950年代を中心に2005年までと幅広い。演奏者はBLUE NOTE専属の多士済々なプレイヤーがずらりと並んでいる。演奏もその時代を反映したものとなっていて素晴らしい。
6枚のCDは以下のように分類されている。

DISK 1 「グレイト・スタンダーズ」  例えば、最初の1枚目の最初の演奏はSONNY CLARK(JAZZ批評 83.)の"SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE"だ。次がBILL EVANSとJIM HALLの"UNDERCURRENT(JAZZ批評 122.)"から"MY FUNNY VALENTINE"という具合だ。もう、これだけでこのオムニバスの素性の良さが分かるというものだ。流石に、「グレイト」と名がついているだけあって、更に有名曲と名演がずらりと並ぶ。
以下、RAY BRYANT"MISTY", PHINEAS NEWBORN JR."TAKE THE A TRAIN", RON CARTER & KENNY BARRON"YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO", THE THREE SOUNDS"SATIN DOLL", McCOY TYNER"AUTUMN LEAVES", CHICK COREA"MY ONE AND ONLY LOVE", HORACE PARLAN"ON GREEN DOLPHIN STREET", DON RANDI"SUMMERTIME", JASON MORAN"BODY AND SOUL", CHUCHO VALDES"MY FOOLISH HEART", BENNY GREEN"WORKSONG" ・・・と続く。
このメンバー、この楽曲をみれば、このCDが単なる寄せ集めでないことが分かるだろう。

DISK 2 「リラックス・スタンダーズ」 
列挙しだすときりがないので、ここでやめておくが、ことほど左様に素晴らしき演奏者と良き楽曲が続く。
DISK 3 「シネマ・スタンダーズ」 
DISK 4 「ロマンティック・スタンダーズ」 
DISK 5 「ミッドナイト・スタンダーズ」 
DISK 6 「モダン・ジャズ・スタンダーズ」 

というような具合で、単なる寄せ集めアルバムではない。十二分に楽しめる編集となっている。こういうアルバムは一挙に全部を聴く必要はない。好きなときに好きな分だけをチョイスして聴けば良い。いつも最新アルバムを聴いている中に、時折、こういうアルバムを挟むと良い。ちょうど「箸休め」のように。
圧倒的なコスト・パフォーマンスの良さに参った!持っておけば、後々、何かと便利。スタンダード・ナンバーの辞書みたいなものだ。
箸休めでもあり、スタンダード・ナンバーの辞書でもあるということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2010.02.18)



独断的JAZZ批評 607.