このアルバムの全ては"MY FUNNY VALENTINE"にあると言い切って良いだろう
極端な話、残り8曲は聴かなくても良いと思う
"UNDERCURRENT"
BILL EVANS(p), JIM HALL(g) 
1962年4, 5月 スタジオ録音 (BLUE NOTE 7243 5 38228 2 8)


ここしばらく2002年録音の新しいところが続いたので、昔のやつを一発。不思議と同じ時代のものが続くと違う時代のもの、違う大陸のものや違う人種のものが聴きたくなってくる。
世に名盤としての誉れも高い1962年録音のピアノとギターのデュオ・アルバム。EVANSの代表作として必ずラインナップされる。
このCD、HMVのキャンペーンでわずか1290円で手に入れた。そう、まるで中古盤の価格だ。これは嬉しい!

JIM HALLはJAZZ批評 72.でPAT METHENYとのギター・デュオ(1998年録音)を披露しているが、遡ること今から40年前にこんなに素晴らしいピアノとのデュオを演じていた。トリオとは違う組み合わせにEVANSも緊張気味だ。そして、またこの緊迫感がいい。

@"MY FUNNY VALENTINE" この曲はこのアルバムの白眉。全てはこの曲あるといっても過言ではない。このピアノとギターのインタープレイこそ、インタープレイの極意とも言うべきものが詰め込まれている。特に、EVANSがソロをとってからのHALLのバッキングが凄い。ギターによるバッキングが唸りを上げる。この「研ぎ澄まされた切れ味」を聴け!!
A"I HEAR A RHAPSODY" テーマを弾くギターの音色がいい音している。ジャズ・ギターの真髄だ。
B"DREAM GYPSY" 物悲しげなテーマが胸を打つワルツ。バックを執るEVANSのバッキングもGood!
C"ROMAIN" JIM HALLの曲。テーマ後のアドリブによるインタープレイをとくとお聴きあれ。

D"SKATING IN CENTRAL PARK" これもワルツ。タイトルのイメージ。
E"DARN THAT DREAM" ちょっと、中休み。
F"STAIRWAY TO THE STARS" 
G"I'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU"

H"MY FUNNY VALENTINE" 別テイク。アドリブのバックで弾くEBANSの低音部のウォーキングが、トリオでのベースラインを思わせる。それが逆転してピアノがソロをとりはじめると今度はHALLのギターによるバッキングが、また、唸らせてくれる。気持ちよさそうにスウィングするピアノが楽しい。@に勝るとも劣らない好演である。
I"ROMAIN" 別テイク。

このアルバムの全ては
"MY FUNNY VALENTINE"にあると言い切って良いだろう。極端な話、残り8曲は聴かなくても良いと思う。@と別テイクのHのためにあるアルバムと認識すべし。全てはそこに凝縮されている・・・・と僕は思う。  (2003.02.15) 

<追記 2013.10.14>
最近、FRED HERSCHとJULIAN LAGEのデュオ・アルバム"FREE FLYING"(JAZZ批評 827.)をレビューするために、このアルバムを引っ張り出して聴いてみた。
"MY FUNNY VALENTINE"の2テイクだけをとったとしても、その素晴らしさには素直に感嘆の声を上げないといけないだろう。ということで、遅まきながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。



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BILL EVANS

独断的JAZZ批評 122.