MARCUS ROBERTS
先人をリスペクトして、あくまでもスマートなのだ
そう、ちょっと「よそいき」みたいな・・・

"NEW ORLEANS MEETS HARLEM VOLUME 1"
MARCUS ROBERTS(p), ROLAND GUERIN(b), JASON MARSALIS(ds)
2006年5月 スタジオ録音 (DDUJ-057)


昨年の後半にはKENNY BARRONの"MINOR BLUES"(JAZZ批評 576.)とか、AHMAD JAMALの"A QIET TIME"(JAZZ批評 592.)など、黒人のベテラン・ピアニストの優れたアルバムをピックアップ出来た。
今回は盲目のピアニスト・MARCUS ROBERTSだ。1963年生まれというから、今年47歳になる。もう若手とは呼びにくいなあ。このアルバムは黒人のジャズ・ジャイアンツの楽曲を集めた企画モノだ。FATS WALLERが3曲、DUKE ELLINGTON 2曲、ラグタイム王と呼ばれたSCOTT JOPLINが2曲、自称スイングの創始者のJELLY ROLL MORTONが2曲、THELONIOUS MONK 2曲という具合だ。多分、"VOLUME 1"とあるので、このシリーズが何回か続くのだろう。
メンバーではドラムスのJASON MARSALISはBRANFORD(ts)、 WYNTON(tp)、 DELFEAYO(tb)を兄に持つMARSALIS一家の4男。ドラムスのほかヴァイブなども演奏するらしい。ベースのROLAND GUERINは初めて聴くベーシストだと思う。

@"NEW ORLEANS BLUES" 
(J. R. MORTON)
A"JITTERBUG WALTZ" 
(F. WALLER)ジャズ・ファンなら一度は耳にしたことのある楽曲。ああ!これか!と思うはず。
B"THE ENTERTAINER" 
(S. JOPLIN)
C"PIE EYES BLUES" 
(D. ELLINGTON)
D"JUNGLE BLUES" 
(J. R. MORTON)
E"BLACK AND TAN FANTASY" 
(D. ELLINGTON)
F"AIN'T MISBEHAVIN'" 
(F. WALLER)邦題「浮気はやめた」 そうか、FATS WALLERの書いた曲だったのか!明るく陽気にプレイ。
G"HONEYSUCKLE ROSE" 
(F. WALLER)
H"A REAL SLOW DRAG" 
(S. JOPLIN)
I"IN WALKED BUD" 
(T. MONK)
J"BA-LUE BOLIVAR BA-LUES-ARE" 
(T. MONK)
K"SEARCHING FOR THE BLUES" 
(MARCUS ROBERTS)唯一のオリジナル。アップ・テンポで躍動する。このアルバムでは一番ホットな演奏。やはり、こういうのを聴けば、これが本来の姿と言うべきだろう。

言葉は悪いが、往年の黒人ジャイアンツが書いた有名曲の模範的演奏集みたいな匂いがする。素晴らしい演奏であることを否定するものではないが、何か物足りない。
「俺達の演奏を聴いてくれ」というよりも「先人の素晴らしい曲を聴いてくれ」という感じと言ったら良いかな。アグレッシブで汗をかっ飛ばすような演奏を期待していると裏切られる。先人をリスペクトして、あくまでもスマートなのだ。そう、ちょっと「よそいき」みたいな・・・。    (2010.01.09)

試聴サイト : http://www.marcusroberts.com/music_store.cfm?nav=store



独断的JAZZ批評 600.