PIOTR WYLEZOT
どれも中途半端なほどにそこそこなのだ
"CHILDREN'S EPISODES"
PIOTR WYLEZOT(p), MICHAT BARANSKI(b), LUKASZ ZYTA(ds)
2007年9月と2008年5月 スタジオ録音 (FLESH SOUND : FSNT354)


"FRESH SOUND NEW TARENTS"から発売になったこのアルバムのピアニスト、PIOTR WYLEZOTはポーランドで活躍するトップ・ピアニストだという。既に十分なキャリアを持っていて満を持しての登場だというが・・・。全8曲中、6曲がWYLEZOTのオリジナルで、
DがT. MONKで、GがPHIL MARKOWITZの曲だ。

@"NICHOLAS PATU" 
熱くなりそうで燃えるほど熱くはならないが、ほどほどに熱くなったヨーロピアン・サウンド。ベースのBARANSKIは良く歌っていて、このグループの要だ。
A"PROMISSED SONG" 
ピアノで始まるリリカルなテーマ。続くBALANSKIのベース・ソロはビート感があって頼もしい。
B"DEAL WITH MYSELF" 
このアルバムの中では多ビートのハードな演奏。かなりピアノはハードに弾いているが、もう一皮剥けるといいと思う。
C"POSSUM" 
ベースに応えてピアノがもっと熱くなってくると良いと思うのだが・・・。
D"INTROSPECTION" T. MONKの曲も随分と垢抜けた感じで泥臭さがない。ヨーロッパ的だと言えばその通り。何か面白みがないなあ。少々荒っぽいなあという印象が残ってしまう。
E"CHILDREN 'S EPISODE T" 
しっとりとしたイントロで始まる。その後、イン・テンポになり変拍子を刻んでいく。音量的には盛り上がっていくのだけど、リスナーのテンションが高まっていかないのは何故だろう?
F"CHILDREN 'S EPISODE U" 
この曲の最初の1分間をCDが再生しない。グチュグチュというノイズのみ。ほかのCDプレイヤーでも試したが、やはり駄目だった。こういうのは全く持って興が醒めると言うものだ。まさか、意識的な無音効果を狙ったわけではあるまいし・・・。
G
"SNO PEAS' " 古くは1978年にBILL EVANSがTOOTS THIELEMANSとの共演アルバム"AFFINITY"(JAZZ批評 330.)でも取り上げており、新しくはLUIGI MARTINALEが"2005年録音の"LE SUE ALI"(JAZZ批評 549.)の中で取り上げていて、好印象を残したスタンダード・ナンバー。どちらのアルバムもタイトル表記は"Sno' Peas"になっているが、ここでは"Sno Peas' "。これら二つのアルバムの演奏に比べると印象度は弱い。ベースに比べてドラムスが下がり過ぎ。録音年月が二つに分かれているから、そのときの録音のセッティングによって音が違ってくるのだろう。

まさにヨーロピアン・テイストのアルバムである。ピアノとベースがほぼ対等な立場でプレイされている。曲が進むにつれて、ドラムスが引っ込み思案なのが残念。多分、録音年月が変わりセッティングも変わったのだろう。
このMICHAT BARANSKIというベーシストはなかなか良いベーシストだと思う。アコースティックな音色がとても良いし、歌心もある。更に言えば、ベース音が唸りながら躍動しているもの。
残念なことに7曲目の1分間が再生不能というのはいただけない。まあ、このことがなかったとしても、それほど良い点はつけられない。ほどほどの演奏だとは思うが、もうひとつ心に訴えるものが足りない。例えば、強烈な躍動感であるとか、切ないまでの美しさであるとか、あるいは、緊密感溢れるインタープレイであるとか・・・。どれも中途半端なほどにそこそこなのだ。   (2009.10.28)

試聴サイト : http://www.myspace.com/piotrwylezol



独断的JAZZ批評 589.