GUILLAUME DE CHASSY
5年後も光り輝いているアルバムかというと僕にはクエスチョンだ
"FARAWAY SO CLOSE"
GUILLAUME DE CHASSY(p), STEPHANE KERECKI(b), FABRICE MOREAU(ds)
2007年11月 スタジオ録音 (BEE JAZZ : BEE024)

雑誌「JAZZ批評」の2008年ジャズ・ディスク大賞の金賞受賞アルバムがこれだ。こういう賞に興味はないのであるが、受賞作がピアノ・トリオとあっては聴かないわけにはいくまい。
ということでゲットしてみたが、結論から先に言うと僕の好みからは外れている。多くの評論家の支持を得て金賞に輝いたのだからある程度の普遍性というのもあるのだろう。いわゆる、評論家好みのアルバムかもしれない。
僕ら素人には、アルバム全体を占めるもって回ったような、あるいは、もったいぶったような印象についていけない感じだ。もっとシンプルに、もっとストレートに、と思うのは僕だけではあるまい。

@"WISH YOU WERE HERE" 唯一、この演奏だけはいいね。この曲はロック・バンド、PINK FLOYDが歌っていた曲らしい。テーマがいいから、アドリブも生きてくる。このアルバムはこの1曲でもっているようなものだ。
A"COIN DE RUE" 今度はシャンソンから。
B"CHORAL" 抽象的な色彩のメリハリのない演奏。この曲以降、似たようなテーマ、似たようなスタイルの演奏が続く。内省的で観念的な匂いもする。全曲通して聴きとおすのは少々骨が折れる。
C"WHAT DO YOU MEAN?(#1)" 
1分39秒。
D"APRES UN REVE" 
邦題「夢のあとに」
E"WHAT DO YOU MEAN?(#2)" 
2分25秒。
F"IDA LUPINO" 
CARLA BLEYの書いた美しいテーマを美しく演奏しただけ。
G"WHAT DO YOU MEAN?(#3)" 
1分48秒。
H"PARENTHESE" 
一向に盛り上がらないと言うべきか、抑制されていると言うべきか?
I"NOCTURNE"
 ついに最後までクライマックスを迎えることなく終わる。

非常に内省的で、少々観念的な匂いもするグループである。演奏スタイル的には最近紹介したアルバム、TLBの"TRIPLE CROSS"(JAZZ批評 558.)に似ているかもしれない。ただ、"TRIPLE CROSS"の方がもっと躍動感がありアグレッシブだし、インプロヴィゼーションの点でも秀でているように思う。
このアルバムは似たような楽曲、似たような演奏が集まった。@の"WISH YOU WERE HERE"の楽曲の良さを除けば、印象度は低いと言わざるを得ない。まさに@あってのアルバムと言えるかもしれない。この@をはじめ、Aのシャンソン、Dのなど耳に覚えのある楽曲をそれなりに料理しているのだが、いかんせん、似たような印象しか残らない。ハード・ドライブな演奏があるわけもなし、高速テンポの曲があるわけでもなし、昂揚感満載の演奏があるわけでもない。皆、ミディアム・テンポ以下のゆっくり目の内省的な演奏だ。
このアルバムが金賞に輝いたように、5年後も光り輝いているアルバムかというと僕にはクエスチョンだ。   (2009.06.16)

試聴サイト : http://www.emusic.com/album/Guillaume-de-Chassy-Guillaume-de-Chassy-Faraway-so-close-MP3-Download/11439726.html



独断的JAZZ批評 563.