独断的JAZZ批評 533.

JAZZ-HIP TRIO
この演奏をもって、「幻の名盤」なんていうのはやめて欲しいね
「次元が違う」と僕は言いたい
"PORTRAITS"
JEAN-BERNARD EISINGER(p), ROGER LUCCIONI(b), DANIEL HUMAIR(ds)
1968年 スタジオ録音 (GRAVURE UNIVERSELLE : LXCY-6250)


いやあ、兎に角、荒っぽい。これは録音のせいばかりとは言えないだろう。しっとり系の演奏のときはあまり録音が悪いという印象はないのだけど、ガツンガツンやり始めると耳を覆いたくなる録音の悪さなのだ。音が完全に歪んでしまっている。
正直に言って、このCDを何回も繰り返して聴く忍耐力は、僕にはない。
最近紹介したヨーロッパのアルバムでは、1962年録音の"JAZZ IN STUDIO"(ジャズ批評 518.)の時にも感じた録音の悪さと品質の悪さというのがとても気になった。時代を考えれば、ある程度仕方のないことと割り切ったとしても・・・。

@"BAT ROCK" 
最初の1曲目に、この演奏を聴いて厭になる。少なくてもこの曲を1曲目に持って来るべきではなかったと思う。
A"EXTRA WISKY" 
この曲から始まっていれば、このCDの印象も随分と違ったものになっていただろう。
B"DE VELOURS NOIR" 
ベースの音は硬質でなかなか良いと思うのだけど、ピアノがガンガンやり始めると僕はもうギヴ・アップ。騒々しいピアノだ。
C"BLACK LOTUS" 
D"TABLEAU DE DANIEL HUMAIR" 
E"SUNDAY WALK" 
F"CELLO-BRITTEN" 
G"JAZZMANINOFF" 
H"SUITE POUR CLAUDIA" 
I"PORTRAIT ROBOT" 
J"L'AUTRE COTE DU MIROIR" 
K"GREY WIZARD" 
L"HOBBIT" 
M"FIVE UP" 
N"EVEN LEE" 
O"LADY EMILY"
 

1960年代のヨーロッパのジャズっていうのは、録音を含めてこの程度だったのか?!
いやいや、そんなことはない。過去を遡ってアルバムを開いてみると、このアルバムと同じ1968年録音のPHIL WOODSの"ALIVE AND WELL IN PARIS"(JAZZ批評 52.)あたりを聴いてみると決してそういうことはないので、このアルバム特有の現象だと信じたい。
というか、この演奏を生のライヴで聴けたらそこそこ楽しめたのではないかと思うのだ。ある意味、CD化しない方が良かったかもしれない。何故なら、それだけの空気や雰囲気をこのCDには伝えきれていないからだ。兎に角、聴き疲れする。2〜3曲聴いたら耳を休める必要がありそうだ。
録音の悪さもさることながら、演奏自体の評価も○とは言えない。
悪いけど、この程度の演奏ならアメリカの当時のアルバムを聴くべき。1968年録音の素晴らしいアルバムは山とある。例えば、僕がジャズにのめりこむきっかけとなったCHICK COREAの"NOW HE SINGS, NOW HE SOBS"(JAZZ批評 1.)もそうだし、BILL EVANSの"ALONE"(JAZZ批評 298.)もそうだ。ELVIN JONESとRICHARD DAVISの双頭コンボによる"HEAVY SOUNDS"(JAZZ批評 357.)もそうだ。
これらのアルバムと比較すること自体がおこがましいというものだ。
このアルバム程度の演奏は五万とあるし、この演奏をもって、「幻の名盤」なんていうのはやめて欲しいね。「次元が違う」と僕は言いたい。   (2009.02.03)