CHOLET KANZIG PAPAUX TRIO
このグループには確固たるアイデンティティが確立していて、演奏に迷いが無いね
"UNDER THE WHALE"
JEAN-CHRISTOPHE CHOLET(p), HEIRI KANZIG(b), MARCEL PAPAUX(ds)
2005年4月 スタジオ録音 (ALTRISUONI : AS189)

久しぶりに新宿のDISK UNIONにCDを買取に出すために行ってきた。今年の4月以降に溜まった3つ星半以下のアルバムを買い取りに出した。締めて10枚。10枚の買取価格は8250円。平均単価、825円は決して悪くないんじゃない?
因みに、最高値は1000円で、E.S.T. "LUECOCYTE"、BILL STEWART "INCANDESCENCE"、HARVIE S "NOW WAS THE TIME"、CHARLES BLENZIG "STRANGE ENERGIES"の4枚だった。
一方、最低価格はOLIVIER HUTMAN "FIVE IN GREEN"の500円で、前掲のSIMONA PREMAZZI "LOOKING AT THE EXIT"は650円だった。
中古CD市場というのは新品以上に市場の需給バランスが反映されると思うのであるが、この結果は面白かった。意外だったのはCHARLES BLENZIG "STRANGE ENERGIES"に1000円の高値がついたことだ。勿論、査定の中には発売時期の新旧やCDそのものの傷の有無が加味されているのだろう。でも、査定額に一番反映するのは恐らく人気だろう。やはり、ビッグネームのE.S.T.やBILL STEWARTが高値の査定をされるのは分かる気がする。
僕は、自分の評価で星が3つ半以下のアルバムは買取に出すと決めている。何故なら、持っていても二度と聴くことが無いと思われるからだ。それならば、喜んで聴いてもらえる人の手に渡ったほうがCDも幸せだろう。
で、この10枚を買い取りに出してゲットしたのがこのアルバムである。以前から目をつけていたのであるが、なかなかその機会が無かった。今回ゲットしたのはこの1枚。近々、6枚のCDが入荷する予定があるが、その中に、このJEAN-CHRISTOPHE CHOLETの2007年録音のアルバムも含まれている。

@"TWO ZEBRA FROM THE LAKE" 
暗くて地味なジャケットに似合わず、最初からかなりハードな演奏だ。小気味の良いピアノのタッチだ。3人がかなりバシバシとやりあっていて面白い。
A"M. GABRIEL F." 
しっとり系バラードが渦を巻くようにうねりだす味わい深いチューン。はて、どこかで聴いたことがあるようなスタイル・・・。・・・そうだ!うねりながら躍動していくスタイルがENRICO PIERANUNZIやGIOVANNI MIRABASSIに似ているかも知れない。
B"LOVELY TRAIN" 
サクサクとしたブラッシュ、太いアコースティックなベース。その間隙を縫ってピアノが歌う。3者の緊密なインタープレイが楽しめる。
C"LIKE A GOSPEL" 
ドラムスから始まる元気溌剌な演奏。このグループには確固たるアイデンティティが確立していて、演奏に迷いが無いね。後半に入るとベース・ソロは太くて逞しい良い音色だ。妙に印象に残る1曲。
D"TYPICAL COMBINATION" 
アブストラクト風であるが、きちんとリズムを刻む。

E"IN THE PAPAUMOBILE" 
これも個性的なハード・タッチの演奏で面白い。実に力強い。
F"BLANDINE FROM LYON" 
3者のインタープレイ。迷いが無くて、力強くて、しかも、リリカル。
G"UNDER THE WHALE" 
最初に鯨の鳴き声らしきものが聞こえるが、こういうの聴くと「鯨の尻尾」で名を馳せたVIT SVEC "KEPORKAK"(JAZZ批評 245.)を思い出す。この曲もまた、心地よい4ビートを刻んでエンディングを迎える。
H"CE QUI RESTE LE SOIR" 
太くて逞しいアコースティックなベース音が印象的。
I"LITUANIA" 
リリカルな演奏もまた良い。甘さに楔を入れるドラミングが良いね。
J"LIKE A GOSPEL (TAKE 2)" 
これはCのTAKE 2。こちらはしっとり系ピアノのソロ演奏だ。心に沁みるなあ!いやあ、楽しませてくれるね。

Dを除く全ての曲がCHOLET、もしくは3人の競作という具合で、なかなかやる気満々だ。実際、3者の力量も緊密感も申し分ない。これは次に入荷予定の"BEYOND THE CIRCLE"(JAZZ批評 514.)が一層楽しみだ。
それに先んじて、このアルバムには5つ星を献上し、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加しておこう。   (2008.11.15)  



独断的JAZZ批評 512.