KEITH JARRETT
我がピアノ・トリオ人生の中でも燦然と輝き続けるトリオであることに変わりはない
"MY FOOLISH HEART LIVE IN MONTREUX
"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DEJOHNETTE(ds)
2001年7月 ライヴ録音 (ECM : UCCE-1095/6)
このアルバムの録音年月日は、正確には2001年7月22日である。そして、ライヴ録音の会場はモンタレー・ジャズ・フェスティバルである。僕の所有しているアルバムでは同じ年の4月の東京公演のライヴ録音盤"ALWAYS
LET ME GO"(JAZZ批評 105.)と7月28日録音のライヴ盤
"THE OUT-OF-TOWNERS"(JAZZ批評 217.)の間に位置する。後者はミュンヘンのSTATE OPERAで録音されているが、この間、わずか6日である。想像するに、このアルバムを録音した後にミュンヘンに移動して"THE
OUT-OF-TOWNERS"を録音したのであろう。
<DISK 1>
@"FOUR" 初っ端はM.DAVISの曲。3者の絶妙なコンビネーションでスタート。冴え渡るDEJOHNETTEのドラミングに注目いただきたい。ピアノ〜ベース〜ドラムスの8小節交換と順にソロをとりテーマに戻る。
A"MY FOOLISH HEART" 聞き古されたスタンダード・ナンバーだがこのトリオならではの格別の味わいがある。快いスイング感はその際たるものだ。「ジャズって良いなあ!」と心底思える美しさと緊密感、そして、躍動感。このトリオの真骨頂。
B"OLEO" 今度はS. ROLLINSの書いた曲。アップ・テンポでグイグイ突き進む。ここでもDEJOHNETTEのドラミングに注目したい。最高にグルーヴィ。後半に入るドラム・ソロも素晴らしく、まさに興が乗っている!
C"WHAT'S NEW" 少し速めのバラード演奏で始まり、テーマの後はベースがソロを執る。徐々にインテンポになってきて4ビートを刻むようになる。軽快さと力強さを兼ね備えたDEJOHNETTEのブラッシュ・ワークが素晴らしい。最後はバラード調に戻って終わる。
D"THE SONG IS YOU" アップ・テンポが快く胸に響く。ベースとドラムスのサポートが素晴らしい。三位一体とは言い古された言葉であるが、そうであっても、その言葉が的確にこの演奏を表現していると思う。
E"AIN'T MISBEHAVIN'" 陽気なラグタイムで終わる。
と、この<DISK 1>は非の打ち所のない演奏で最後まで飽きさせることがない。「素晴らしい!」の一言。このDISKを採点すれば文句なしの5つ星。完璧だ。
<DISK 2>
F"HONEYSUCKLE ROSE" <DISK 1>の6曲目に続くラグタイムが更に2曲。
G"YOU TOOK ADVANTAGE OF ME"
H"STRAIGHT, NO CHASER" T. MONKのかいたブルースを途中からフリーのインプロにシフト。
I"FIVE BROTHERS"
J"GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DRY" JULE STYNEの書いた美しいバラード。
K"GREEN DOLPHIN STREET" お馴染みスタンダード。こいつぁいいねえ。DEJOHNETTEの怒涛の攻撃というのだろうね。いやあ、素晴らしいドラミングだ。。
L"ONLY THE LONELY"
<DISK 2>は2枚目ということで聴く側も多少はダレルものだ。加えて、<DISK
1>に比べるとインパクトに欠ける。このDISKだけをとれば星、4つというところだろうか。
では、トータルで考えると星、4.5?
確かに、足し算、割る2で4.5と言いたいところだが、ぼくのつける点数は、それでも、星5つ。何となれば、DISK
1だけで購入価格の3600円の元は取れるからだ。DISK 2がなくても3600円の価値あり。厭なら、DISK
2を聴かなければ済む話。だから、アルバムの価値としては星は5つなのだ。
何十年経ってもKEITH JARRETT TRIOの素晴らしさは揺るぎがない。我がピアノ・トリオ人生の中でも燦然と輝き続けるトリオであることに変わりはない。
またしてもと思いつつも、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
この6日後に録音された
"THE OUT-OF-TOWNERS"(JAZZ批評 217.)も素晴らしいアルバムで、特に、KIETHのソロ・チューン"IT'S ALL IN
THE GAME"では幸せ感が体をすっぽりと包み込んでくれるだろう。 (2007.10.16)
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