"ALWAYS LET ME GO"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DeJOHNETTE(ds)
2001年4月 ライヴ録音 (ECM UCCE-1022/3 2枚組み)
2001年の日本(東京)公演のライヴ盤、2枚組み。
もはやSTANDARDSの面影はない。前作"INSIDE OUT"(JAZZ批評 35.)の延長線、ないしは発展形と捉えるべき。
CD-1
@"HEARTS IN SPACE"。32分間に及ぶ演奏。フリーのインプロビゼーションで始まる。
フリーだからといってここで諦めてはいけない。これはほんの序章である。この後に来る高揚感、ドライブ感、緊迫感を体感するための辿らなければならない行程であると。
このフリー・インプロビゼーションから導き出される絶頂感とも言えるクライマックスが凄い!最後の10分間の凄さを聴け!
A"THE RIVER"。4分のピアノ・ソロ。
B"TRIBUTARIES"。美しいバラード調のテーマで始まる。スロー・バラードにあっても3者の緊迫したインタープレイが聴ける。徐々にインテンポになっていくあたりの絡み方が背筋をゾクゾクさせる。そして、インテンポになってからの強烈な躍動感に痺れる。
C"PARADOX"。テーマの明快な曲。
CD-2
D"WAVES"。「静謐」のピアノ・ソロで始まる。その後、ベースが絡み、ドラムスが絡む。長尺の35分。中間部は若干、冗漫な印象を免れない。最後の5分がスリリング。
E"FASING EAST"。ドラムスのソロで始まる。DeJOHNETTEの叩きだすドラムスの音は
打楽器という枠超えて、あたかも、メロディ楽器の如し。ご機嫌なスウィング感が満載。
F"TSUNAMI"。サザンオールスターズとは関係ない。結構HEAVYだ。
G"RELAY"。明快なテーマ。
個人的には@BEがお勧めだ。ここには「美しさ、躍動感、緊迫感」が溢れんばかりに漲っている。
いずれにしても、聴く側にもそれなりの心と身体の準備が必要だ。真正面から向き合わないと、3者の卓抜した技術、そして、研ぎ澄まされた感性から構築される音楽の深さと重さを享受することは難しい。
同時に、僕にとっては言葉を持って批評することの限界を痛感させられた。
万人向けではない。気力と体力を充溢させてその研ぎ澄まされた感性のインタープレイを聴いてい欲しい。 (2002.10.17)
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