独断的JAZZ批評 399.

SERGIO GRUZ
要するに波長が合わないという、そういう感じ
"ENSENBLE"
SERGIO GRUZ(p), JUAN SEBATIEN JIMENEZ(b), ANTOINE BANVILLE(ds)
2004年?月 スタジオ録音 (MDRO RECORDS : MDR1435)

アルゼンチンのピアノ・トリオだという。何やら。あまり食欲をそそらない怪しげなジャケットではある。グロテスクである。このジャケットからは素敵なジャズが流れ出てくるとはとても思えない。
昨年、輸入CDショップで紹介されていたアルバムであるが、タイミングが悪くて入手し損なっていた。最近になって、再入荷ということでゲットしたアルバムだ。勿論、試聴もしていない。かれこれ2週間近くにわたって聴いているのであるが、あまりぴんと来ない。
心沸き立つような躍動感があるわけでもなし、かといって、シンプルな演奏でもない。どちらかというと凝っている。
こういうアルバムのレビューが一番書き辛い。そんなにも良くなくて、悪くもない。もうちょっとどちらかに偏っているとレビューも書きやすいのであるが。なんとも、自分自身の歯切れの悪さに苛立ってしまうのだ。

@"ENSEMBLE" 一体感があるようでない。緊密感もあるようでない。何と言ったらいいのだろう。要するに波長が合わないという、そういう感じ。それはこの曲に限ったことでなく、アルバムを通して言えることだ。
A"GRACIAS A LA VIDA" スタイル的にはインタープレイ重視の演奏だが・・・。躍動しないなあ・・・。頭でっかちというか、エモーションがついていっていない。インタープレイで聴かせる演奏スタイルは3者の緊密感と深いコミュニケーションが必要と思われるが、それが欠けている。こういう演奏では丁々発止のやり取りや「阿吽の呼吸」を期待したくなるのが人情というものだ。ベースもありきたりだ。このぐらいのベーシストは世に五万といる。そして最後はフェードアウト。
B"L'ILE TUDY" フリー・テンポの冗漫なベース・ソロで始まる。
C"REQUIEM" この辺まで聴いていくると、大体、先が読める。もうこれ以上、聴きたいとは思わないのだが、レビューを書く以上、聴かねばなるまい・・・。ということを、この2週間、続けてきた。ここいらでもう、区切りをつけた方が良いだろう。

D"PA'DELANTE" 書くべき言葉が思い浮かばない・・・。
E"ZAMBA" 
F"C'EST POSSIBLE ! ?" 
G"NO EXIT" 
H"SOLO" タイトル通り、2分間のピアノ・ソロ。
I"TIME" 
J"GRACIAS" 

「ジャケットで大損した最右翼のアルバム」という紹介もあるほどだ。確かに、この演奏とこのジャケットが組むことによって倍ほど評価を下げているような気もする。AとB以外はピアニストSERGIO GRUZの作曲らしい。フーッ!やっと、終わった。

アルゼンチンのピアノ・トリオというと僕はすかさずGUILLERMO ROMEROの"TRIO"(JAZZ批評 251.)を思い出す。こちらの演奏の方がずっとオーソドックスだ。それでいて、アメリカでもないヨーロッパでもない味わいがある。アルゼンチンのジャズを聴いて見たいという方にはこちらをお勧めしよう。   (2007.03.09)