独断的JAZZ批評 398.

MICHAEL KOCOUR
個々の演奏は面白いのだけど、編集に難あり
"SPEAKING IN TONGUES"
MICHAEL KOCOUR(p), DWIGHT KILIAN(b), DOM MOIO(ds)
2006年8, 9月 スタジオ録音 (TEMPEST)

MIKE KOCOURの前回紹介したアルバム"HIGH STANDARDS"(JAZZ批評 353.)は印象の強いアルバムで、5つ星にするか4.5星にするかで迷ったのであるが、迷った時は、辛い点を点けると決めているので4.5星にした記憶が残っている。スタンダードのオンパレードなのであるが、何故か、味がある。捨て置けない魅力に満ちていた。しかも、自主制作盤だという。アメリカには目利きのプロデューサーはいないのか!と思ったものだ。こういうアルバムはタイミングを外すと入手するのが難しい。製作する枚数が少ないのだろう。
今ゲットしておかないと暫く入手できないと思って買い貯めていくと、どんどん在庫が増えていく。これも困ったもので、レビューが追いつかず、それがプレッシャーとなってしまう。
腹八分目で程よく購入というのは結構難しい。

このアルバムであるが、今回はDISKNOTEのメール・マガジンをもらった直後にすぐ注文を入れた。次を待っていたら、いつになるか分からないと思ったので。
このアルバム、長年連れ添った今までのメンバーがガラリと替わった。これが良かったかどうかは微妙だ。また、レコーディングも8月7日、9月18日と25日の3回に分けて録音されている。そのうち9月25日の分の4曲(
DFHJ)がピアノ・ソロで演奏されている。二人のジャズの巨人の作品集になっている。BUD POWELLの作品が@CFHJで、THELONIUS MONKの作品が残るABDEGIとなっている。

@"UN POCO LOCO" 快活な4ビート。
A"UGLY BEAUTY" MONKの曲もこんなにしっとりした演奏になるんだ!
B"THINK OF ONE" 一転して、ブラッキーな演奏になった。確かに演奏スタイルの幅が広い。何でもこなせるピアニストだ。
C"WAIL" いかにもPOWELLの曲だ。1コーラス、32小節のテーマの後、ピアノのソロがユニゾンで1コーラスあるが、これが良い!センスが光る!

D"ASK ME NOW" ソロ。KENNY BARRONやDON FRIEDMANなんかも演奏していたが、この曲はこんなにも美しい曲だったのか!これは新しい発見で、びっくり!
E"BYE-YA" 
F"OBLIVION" ソロ。実に流暢なピアノ・ソロ。
G"PANNONICA / EPISTROPHY" 
H"PARISIAN THOROUGHFARE" ソロ。いいねえ。ソロだけを集めて、じっくり聴いてみたくなる。
I"FOUR IN ONE" MONK的アプローチのトリオ演奏。
J"DUSK IN SANDI" ソロ。ピアノ・ソロの演奏に灰汁の少ない佳曲が揃った。4曲のうち、3曲がPOWELLの書いた曲だ。

個々の演奏は面白いのだけど、編集に難ありという感じなのだ。録音が3回に分かれているので、微妙に録音のレベルが違い、ピアノの音色も違っている。泥臭い演奏の一方で、美しいピアノ・ソロが何曲も混入しているという違和感が残る。両極端なのだ。従って、焦点が絞りきれない散漫な印象を与える。
僕は、総じてピアノ・ソロの出来の方が良いと思う。また、Cなども演奏に切れがあって面白いと思う。このピアニスト、なかなかなの役者だ。無名の自主制作盤からスタートして、だいぶ名前も通ってきた。次が楽しみなピアニストだと思う。 

余談だが、このCD、時々上手くCDプレイヤーに掛からない。1曲目を認識しないことがあるのだ。前作の"HAIGH STANDARDS"も何故か、車のHDDに録音が出来なかった。単なる偶然だとは思うのだが、何百と購入しているアルバムの中で、MICHAEL KOCOURのアルバムに限ってこういうことが起きるというのも不思議な話だ。  (2007.03.03)