独断的JAZZ批評 381.

mg3
クラッシクを基本に、ジャズとロックの味付けを加えた印象だ
演奏に灰汁とか毒というものがない
"2nd move"
MARTIN GASSELSBERGER(p), ROLAND KRAMER(b), GERALD ENDSTRASSER(ds)
2004年7月 スタジオ録音 (ATS RECORDS CD-0573)

珍しく、オーストリア発のアルバムだという
4ビートジャズとは無縁のヨーロピアン・ジャズのようだ
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このアルバムはネット試聴をした上で購入している。試聴段階の印象と実際に購入してCDを聴いた時の印象が異なるというのはままあることだ。このアルバムもそういう1枚。最初の印象はアグレッシブな演奏かと思っていたのだが、蓋を開けてみると、意外や内省的で端整な印象の方が強い。
オーストリアというお国柄のイメージにはピッタリ。クラッシクを基本に、ジャズとロックの味付けを加えた印象だ。演奏に灰汁とか毒というものがない。その分、端整さだけで終ってしまったという印象を拭いきれない。

@"PEACE OF MIND" 8ビートに乗って端整なピアノが音を紡いでいく。
A"NEEDLESS TO SAY" あくまでもクールだ。
B"FAITHFUL & TRUE" リリカルなバラード。決して熱くなることはない。
C"MOVEMENTS" 定型パターンに乗って、幾分、元気の良い演奏。それでも、ドラムスはブラッシュを離さない。
D"FLOWING 7" 懲りずに、これもベースの定型パターンで演奏される。曲の途中に「眠れ、眠れ・・・」の子守唄が入る。
E"REVOLUTION" 大袈裟なタイトル名だが、演奏は至って単純。この辺まで聴いてくると、飽きるね。
F"JARRETTY" 
G"WATCH THE CHILDREN PLAY" 
H"FOR GOOD BYE" 

このアルバムには4ビートは1曲もないので、オーソドックスなジャズを期待する向きには奨められない。そして、あくまでもクールである。ほとんど熱くなることがない。アルバムの構成も似たような曲の集まりなのでメリハリが効かない。全曲、GASSELSBERGERの作曲。

実は、このアルバムを注文した時、オーストリア発のアルバムがもう1枚あった。そちらが本命で予約を入れたのだが、何時までも入荷しないのでキャンセルした。逃がした魚は大きい・・・か?   (2006.12.17)

<2007.07.01 追記>
逃がした魚の大きさが分かったので紹介しておこう。TRIOTONIC "HOMECOMING"(JAZZ批評 424.)がそれで、やっとゲットし5つ星を献上した。