独断的JAZZ批評 380.

SAMEER RAMCHANDRAN
ピアノ・トリオとは難しいものである
一人だけ良くても駄目、二人良くてひとり悪くても駄目、やはり、3人揃ってナンボの世界なのだ
"ROUNDABOUT"
SAMEER RAMCHANDRAN(p), DOMINIC DUVAL(b), NEWMAN TAYLOR BAKER(ds)
2006年2月 スタジオ録音 (ROVERBIRD RECORDINGS 001-2006)

ニューヨークで活躍の若手ピアニストのブルックリン録音
名前と写真からインド系のピアニストだろうか?
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もう12月も10日を過ぎてしまった。今年も残りが僅かになった。この時期はそろそろ恒例の「年間ベスト・アルバム」を選定する時期でもある。実を言うと、もうその作業に入っていて、「ベスト・アルバム」にピック・アップするアルバムを携帯オーディオにも既に仕込んであるし、暇を見つけてはアルバムを吟味しているところだ。ひとつの方法として、これらの曲を携帯オーディオにダウンロードしシャッフルで聴くのもなかなか塩梅が良い。シャッフルで聴いていると次に出てくる曲が分からないので固定概念や先入観に縛られず、平等な評価が出来るというものだ。近々、年間ベスト・アルバムをアップする予定なので、乞うご期待!

それにしてもこのアルバムは「お粗末」だと言わざるを得ない。僕にとって絶対的に駄目なのは、ベースが最悪だということ。これはピアノ・トリオで演るベースではない。全く「唯我独尊」であり、「独りよがり」の典型である。一聴、テクニックもありそうに聞こえるが、このベーシストには配慮や気配りというものがない。ピアノをサポートするどころか、脚を引っ張る典型的な演奏だと思う。だから、何時までたっても演奏が躍動してこない。ブツブツに途切れたフレーズの連続なのだ。これでは高揚感は醸成されまい。全てをこのベーシストがぶち壊したといっても過言でない。もっとも、悪いことにピアノもドラムスも平均以上ではないので、ベース一人に責任を負わせるのは酷というものだが・・・。
今年聴いたアルバムの中でも悪い方の最有力アルバムになってしまいそうだ。

だから、これから先は「何をか言わんや!」である。
@"ROUNDABOUT" 
A"VERY EARLY" 
B"THE WHISPERING-WOOD" 
C"SUMMER NIGHT" 
D"TILL THERE WAS YOU" 
E"THE SUMMER KNOWS" 
F"WATER STONE" 
G"TRINKLE, TINKLE" 
H"ALL OF YOU" 

これで、2006年が終ってしまっては後味が悪いので、もう何枚かを年内にアップしたいと思っている。ピアノ・トリオとは難しいものである。一人だけ良くても駄目、二人良くてひとり悪くても駄目、やはり、3人揃ってナンボの世界なのだ。そう言う意味では、このトリオ3人が3人とも不幸だったのかも知れない。   (2006.12.12)