"THE ITEM"
JURAJ STANIK(p), MARIUS BEETS(b), JOOST VAN SCHAIK(ds),
2005年2月、2006年4月 スタジオ録音 (MAXANTER CD MAX 75257)
2003年録音の"SHAKEN NOT STIRRED"はブルース・フィーリング溢れる傑作であった
当アルバムは当初の発売予定から半年ほど遅れてやっと発売になったアルバム
2006年4月の録音が追加になったのだろうか?
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JURAJ STANIKというオランダのピアニストは前述の"SHAKEN NOT STIRRED"で衝撃的なデビューをしたといっていいのではないだろうか。洗練されたヨーロッパの雰囲気とグルーヴィなアメリカの雰囲気を併せ持ち、丁度、足して2で割ったような味わいがある。
メンバーには、ベースに前回と同じMARIUS BEETS(PETER BEETSのお兄さん)、ドラムスに初めて聴くJOOST
VAN SCHAIKが入っている。MARIUSのベースは太いベース音と安定感で今や押しも押されぬ存在になっている。弟、PETER
BEETSの1996年録音の傑作、"FAIRST DATE"(JAZZ批評 182.)にも付き合っているので、こちらも聴く価値はありだと思う。SCHAIKのドラムスはシンバリングがいいね。重くて軽い、ビシビシとしたシンバリングの音色が僕は好きだ。
このアルバム、録音時間が全部で45分33秒と短い。その割には12曲と多いのが難点。4分以内の曲が8曲も詰まっており、曲毎の突っ込みという点で物足りない。ほとんどの曲において、テーマ〜ピアノ〜テーマというスタイルである。ベースやドラムスがソロを執るというのは1〜2曲程度。勿論、ドラムスとの小節交換なども皆無だ。それらの分だけ演奏時間が短くなったとも言える。従い、ピアノのワンマン・トリオという印象が強い。ピアノ・トリオとしての面白みに欠けるのは仕方のないことだ。曲毎の録音年月は分からぬが、1年の期間をおいた演奏がごった煮風に入っているし、演奏の質にもバラつきがある。それを覚悟して聴くべし!
@"LAKE"
A"THE ITEM" モーダルな演奏で躍動感もあるが、何とも、演奏時間が短い。3分弱。
B"DARK BLUE"
C"ALWAYS BUSY" アドリブの4ビートでは躍動感と共に高揚感が増してきていよいよという時にエンディングになる。これも3分弱。
D"HOPE" 面白みに欠けるバラード。
E"MURPHY'S"
F"MINOR MAJORITY" 躍動感溢れる4ビート。2分21秒で終ってしまうのが惜しい。
G"McCOY'S CIGER" このアルバム最長の5分51秒。アドリブでは心地よいシンバリングに乗ってピアノがスウィング。こういう演奏がもっと沢山あればよかったのに!フェードアウトしてしまうのも惜しい。しかし、このアルバムの中では一番STANIKらしさの出た演奏だろう。
H"OSPYLAC" 最短の2分14秒。
I"HOTEL KIEV" 美しいバラード。なかなか歌心あるね。しっとり聴かせる5分51秒。
J"THE SHELLFISH GENE"
K"THE NITTY GRITTY" これも良い調子で演奏が進むのだけど3分半強で終ってしまう。
やはり、全体を通して言えるのは1曲あたりの演奏時間が
短くて少しずつ食い足りない。腹6分目で終ってしまった感じで非常に飢餓感が残る。
前回の華々しいデビューがあったので、どうしても前作と比較したくなるのが人情というものだ。もし、貴方がJURAJ
STANIKのアルバムを初めて購入するというなら、"SHAKEN NOT STIRRED"(JAZZ批評 170.)の方をお奨めしたい。アルバム作りも丁寧だし、演奏も素晴らしい。買って損はないと思う。充分楽しめるアルバムだ。
対して、このアルバムは何か帳尻合わせのような気がして、STANIKのよさが充分表現できたアルバムとは言い難い。発売が半年も遅れた割には、ジャケット・デザインを含めて「やっつけ仕事」的な印象を強く持ってしまう。 (2006.09.30)
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