独断的JAZZ批評 363.




SUPER TRIO
自ら"SUPER"を名乗るアルバムでスーパーな演奏にめぐりあったためしがない
"BROTHERHOOD OF MAN"
DIRK RAUFEISEN(p), JIMMY WOODE(b), CHARLY ANTOLINI(ds)
1994年6月 スタジオ録音 (DIRATON DTCD 300)


最近出たアルバムの中にも"SUPER TRIO"と銘打つアルバムが何枚かあった。
CHICK COREAやKENNY BARRONのアルバムがそれで、果たして、この"SUPER TRIO"はいかがなものだろう?
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制作する側、自ら"SUPER"を名乗るアルバムでスーパーな演奏にめぐりあったためしがない。CHICK COREAの"SUPER TRIO"(JAZZ批評 331.)もそうだし、KENNY BARRONのアルバムはヴィーナスレコードでタイトルも"SUPER STANDARD"ときたもんだ。大好きなKENNY BARRONのアルバムといえども試聴どまりで購入意欲は起きなかった。

最近、3枚買えば25%プライスダウンとか、何枚かまとめれば送料サービスという商法が多い。僕もこの手に乗って1〜2枚余分に買って恩恵に預かろうと購入してきたが、冷静になって考えてみると結局、余分な買い物をしているような気がする。挙句に在庫が溜まってレビューの消化に苦労するという状態だ。このアルバムもそういう1枚だ。未掲載の在庫も残り1枚になったので、これからは、本当に欲しいものだけを購入していこうと思う。そのためには、兎に角、自分の耳で試聴することだ。幸い試聴できるサイトも増えてきたし、手間を惜しまず試聴していこうと思う。

ところで、本題であるが、このアルバムはOSCAR PETERSONの乗りと言ったらいいだろうか。肩肘張らずに理屈無しに楽しめたらそれで十分という方にお奨め。選曲もスタンダードととジャズの巨人の名曲ばかり。
ベースは1955年から60年にかけてELLINGTON BANDで活躍したこともあるJIMMY WOODE。アンプの増幅が強くてビート感やアタック感に欠ける。最初、エレキベースを弾いているのかと思った。
ピアノのDIRK RAUFEISENはドイツのピアニストらしい。

@"BROTHERHOOD OF MAN" 
A"BATTLE HYMN OF THE REPUBLIC" 
B"ON A CLEAR DAY" 
C"SUNDAY MORNING" 
D"A FOGGY DAY" 
E"I WANT TO BE HAPPY" 
F"YESTERDAY" 
G"TILL THERE WAS YOU" 
H"THE MAN FROM POTTER'S CROSSING" 
I"SHINY STOCKINGS" 
僕の大好きなこの曲も実に軽いノリに終始。
J"SUMMERTIME" 
K"LESTER LEAPS IN" 
L"ELMA'S DREAM"
 

お手軽、気軽なアルバムである。で、それ以上でもそれ以下でもない。演奏にリスナーに対する「媚」を感じてしまうんだなあ。だから、2〜3回も聴けば飽きる。真剣に聴こうと思わず、BGM的に流しておく分には邪魔にはならないだろう。
以前に紹介したアルバムでMIKE KOCOURの"HIGH STANDARDS"(JAZZ批評 353.)と比較すると、同じようにスタンダードを演奏しているのだがグループとしてのオリジナリティや演りたいように演ったという満足感を共有できる点で"HIGH STANDARDS"をお奨めしたい。   (2006.09.09)