CHRISTIAN JACOB
スタンダードほど耳慣れしていないのでジックリと腰を据えて掛かって欲しい
5回、10回と、聴けば聴くほど深い味わいが出てくるアルバムである
"CONTRADICTIONS -A LOOK AT THE MUSIC OF MICHEL PETRUCCIANI"
CHRISTIAN JACOB(p), TREY HENRY(b), RAY BRINKER(ds)
2005年12月、2006年1月 スタジオ録音 (WILDERJAZZ 0601)
CHRISTIAN JACOBの最新作。
今は亡きMICHEL PETRUCCIANIへのトリビュート・アルバム
全曲、PETRUCCIANIのオリジナル
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CHRISTIAN JACOBのCDは今までに2枚ほど紹介しているが、その2枚とも素晴らしかった。その1枚がJULE
STYNEの作品をメインに扱った"STYNE & MINE"(JAZZ批評 244.)。特に1曲目の"JUST IN TIME"が躍動感と高揚感に溢れた素晴らしい演奏だった。
もう1枚がTERJE GEWELT(b)がリーダーとなったデュオ・アルバム"HOPE"(JAZZ批評 275.)だ。このアルバムは美しさ、躍動感、緊密感に溢れた瑞々しい演奏で僕のお気に入りだ。
今回はJACOBがレギュラー・メンバーで奏でるMICHEL PETRUCCINIへのトリビュート・アルバムである。このアルバムの新譜情報が出て以来、今か今かと待ちわびていたアルバムでもある。
@"LOOKING UP"
A"EVEN MICE DANCE" 良い曲だ。イメージとして山中千尋に弾いてもらいたいような曲だ。勿論、JACOBの演奏もグッド!特にアドリブに入ってからの高揚感が良いね。
B"DUMB BREAKS" ドラムスのアップテンポのイントロで始まる。3者の一体感、躍動感が跳躍する。これは良いね。どんなに速い演奏でもピアノの運指が乱れることはない。切れとドライブ感のあるドラム・ソロを経てテーマに戻る。目覚ましの1曲。
C"COLORS" ピアノ・ソロ。この演奏を聴いて、この人のピアノ・ソロ・アルバムを聴いてみたいと思うのは僕だけではないだろう。音使いに昔のCHICK
COREAの影をみたりして・・・。
D"BRAZILIAN SUITE" タイトル通りのボサノバ調。よくスウィングしているし、音の切れが素晴らしい。
E"CONTRADICTIONS" 流石にプロはこういう難しいテーマも難しいと感じさせないで仕上げてしまう。よく聴くと素人には難しいリズムとテーマだ。この曲ではエレキ・ベースに持ち替えている。何故だろう?
F"RACHID" 素敵なワルツ。切れがありながらも美しいタッチと歌心溢れるピアノがいいね。ここではHENRYのよく歌うウッド・ベースのソロが披露されている。ピアノのバッキングも良いしね。
G"13th" これもテーマが良い。徐々に高揚感を増していく。ベース・ソロを経てテーマに戻る。
H"MEMORIES OF PARIS" 美しいバラードをピアノのソロで。次回は、ピアノ・ソロ・アルバムを出してください!お願い!
I"BRAZILIAN SUITE NO.2" 後半のウッド・ベースのソロで盛り上がる。この辺、3者の緊密感もなかなかだ。
J"MY BEBOP TUNE" アドリブにはいると高速の4ビートを刻んでいく。珠を転がしたようなピアノが歌い、続く、ドラムスのソロも良く歌っている。
このアルバムはBの"DUMB BREAKS"から聴くと良いでしょう。眠気覚ましの1曲というか、耳に喝を入れるには丁度良い曲だ。この曲はJACOBの真骨頂でしょう。このピアニストには躍動感と高揚感が良く似合う。類稀な躍動感を感じさせるピアニストだ。そのことは以前に紹介した2枚のアルバムにも共通している。だから、こういうピアニストは変に小細工しない方がいいと思う。剛球一本のストレート勝負でいいのではないか?あるいは、CやHのようなピアノ・ソロで!テクニックのみならず歌心も充分あるので、シンプルな演奏の方がより映えてくると思う。そういう意味では先に紹介した"HOPE"のようなデュオは最も嵌っている演奏スタイルかもしれない。
それと、このアルバムは全てがMICHEL PETRUCCIANIの手になる曲で構成されている。やはり、スタンダードほど耳慣れしていないのでジックリと腰を据えて掛かって欲しい。5回、10回と、聴けば聴くほど深い味わいが出てくるアルバムである。
次なるピアノ・ソロ・アルバムへのチャレンジを期待しながら 「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2006.08.25)
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