独断的JAZZ批評 359.




NAHORNY TRIO
"dolce far niente ...i nic wiecej"
WTODZIMIERZ NAHORNY(p), MARIUSZ BOGDANOWICZ(b), PIOTR BISKUPSKI(ds)
2000年6月 スタジオ録音 (CONFITEOR 003)

購入してから何ヶ月も経ってしまった
巷では「牛ジャケ」としてかなり評判だったアルバムらしい
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このアルバムをゲットしたのはもう何ヶ月も前のことだが、その間、聴いたり聴かなかったりしてレビュー・アップが今になってしまった。何ヶ月も遅れ遅れになったアルバムというのは僕にとっては珍しい。だいたい、ゲットした順番にレビューを書くようにしている。でも、手持ち在庫が5枚以上あったりすると、気に入ったアルバムから紹介していきたいと思うのは人情で、後回しになるのはだいたい「買取」行きと決まっていたのだが・・・。このアルバムは周回遅れ3ヶ月くらいという感じ、でも、「買取」には行かないだろう。
僕にとっては評価が難しいアルバムである。テクニック抜群、演奏の切れもある。加えて、3者のコンビネーションもまあまあだ。そうであっても、諸手を上げて推奨する気になれない。何と言うのか、「スキがない」と言ったらいいのだろうか?クラシック的な味わい、ヨーロッパの匂いがぷんぷんするのであるが、それが鼻に付くと言ったらいいのだろうか!アレンジに懲りすぎという面もある。
多分、いや、間違いなく質的にはレベルが高いと思うので、「牛ジャケ」と相俟ってファンも多いだろう。

@"DOLCE FAR NIENTE AND NOTHING MORE" まるでクラシックのようなピアノの美しいイントロ〜ベースのソロ〜ピアノのソロを経て、インテンポになる。ここに至るまでが僕にはまだるっこしい。もっとストレートに演ってよ!この後は、ギンギンギラギラの演奏になるかと思えば、そうではない。ドラムスのソロになり、一通りプレイヤーの顔を立てたということかも知れない。
A"HER PORTRAIT" 続いて、この曲もピアノの美しいソロで始まる。
B"LE'TS LIGHT THE STOVE" 大仰なイントロで始まるがノリノリの演奏でこれは良いね。躍動感溢れるピアノ、しっかりとしたベースの2ビート、軽快なブラッシュワーク、全編こういうストレートな演奏なら5つ星は間違いなしだった。

C"I AM ASKING THE WINTER STARS" 哀愁を帯びた、如何にも日本人好みの曲。
D"THE MOON ABOVE KOSCIELISKO" 単純明快な切れのある演奏。
E"NAUGHTY CHILDREN" 実にヨーロッパ的なテーマ。この辺まで来るとヨーロッパ的クラシカルなテーマに飽きてくる。
F"AURA I FILON" 
G"ZYMAZA" 
H"YOU FEEL LIKE LAUGHING, I DON'T" 美しいバラード。
I"FAIR AUTUMN EVENING" ここでも長めのピアノのイントロが用意されている。
J"ULULA" ピアノ・ソロの美しいバラード。
K"CHOPIN GENIUS LOCI" "CHOPIN"の文字があるから、何らかショパンと関係する曲なのだろう。

ベテラン・ピアニストと若手サイドメンが組み合わさったトリオ。ピアノ・トリオというよりはワンマン・ピアノ・トリオという感じかなあ?良い意味でも悪い意味でもピアノが目立っている。事実、矢鱈とピアノ・ソロのイントロで始まる曲が多い。その目立ち方が鼻に付くと言うべきかも知れない。それと曲想が皆、ヨーロッパ的でありクラシック的である。この辺で好みが別れるところだろう。ブルージーさやグルーヴィさは微塵もないと言っても良いかも知れない。
このアルバムを聴いた後は、無性にアメリカの泥臭いジャズが聴きたくなるというのももっともな話だ。   (2006.08.19)