大御所JIM HALL とMETHENYのギター・デュオ
地味だけど味わい深い
JIM HALL(electric guitar), PAT METHENY(electric guitar,acoustic guitars,fretless classical guitar,42-string guitar) 1998年スタジオ録音とライブ録音(TELARC CD-83442)

ギターによるデュオ。全17曲の内、スタジオ録音10曲とライブ録音7曲の構成になっている。ギターの大御所JIM HALLと今やNO.1の呼び声高いMETHENYの組み合わせが面白い。JIM HALLの影響が強く出ており、センシティブで味わい深い演奏になっている。

METHENYはエレキのほかにも色々なギターを使い分けており、演奏に彩りを添えている。僕は42弦ギターというものを見たことがないが、名前からして42本の弦が張ってあるのでしょう。このギターを使用したと思しき演奏が7曲目の "SUMMERTIME" 。この時のMETHENYのバッキングはなかなかGOOD!
同じ曲をジョンスコとやっているが(JAZZ批評 7."SUMMERTIME")、相方が変わるとこうも違うものかという好対照の演奏をしている。勿論、ジョンスコの方はファンキーで如何にも曲者といった仕上がり。対して、こちらの方はJIM HALLの真面目さが前面に出ていて、面白みという点では前者に分があるが味わいは深い。

METHENYの手による11曲目の"INTO THE DREAM"や12曲目の "DON'T FORGET"はMETHENY得意の牧歌的曲想で、最もこのデュオに相応しい演奏になっている。特に、"DON'T FORGET"は「忘れられない」印象を残してくれる。哀しいほどに美しい旋律を見事に歌い上げるHALLのギターがいい!HALLの手による最後の曲"ALL ACROSS THE CITY"もアコースティックギターを弾くMETHENYが物悲しげでいい。

その他に、"IMPROVISATION NO.1〜NO.5" が含まれている。どれも即興演奏とは思えない端正な仕上がりとなっている。中でも、"IMPROVISATION NO.2" は日本のわらべ歌のような曲想で一瞬「あれ?」と思う。ここでは二人の丁々発止のインタープレイが楽しめる。

全体を通して、JIM HALL との組み合わせ上、仕方のないことだが、しっとりとした曲想が多い。大向こうを唸らせるようなところは全くない。非常に真面目に作られた味わい深いギター・デュオという印象が強い。     (2002.06.01)



JIM HALL & PAT METHENY

独断的JAZZ批評 72.