PAT METHENY "QUESTION & ANSWER"
PAT METHENY(g),DAVE HOLLAND(b),ROY HAYNES(ds) 1989年12月録音
このCDを聴くにあたっては、最後の9曲目 "THREE FLIGHTS UP" から聴いて欲しい。超速4ビートのこの曲は、流石一流のプロのテクニックとは凄いと唸らせる。スピード感、躍動感に満ち溢れている。こんなに速い曲を苦もなく楽々余裕を持ってこなす3人の技が凄い。ホランドのベースは、よくもこの速さの4ビートを刻めるなんてと感心せずにはいられない。
ヘインズのドラミングも最高潮。乗りに乗っていると思わせるヘインズのドラミングである。右手のシンバリング、左手のおかずの入れ方、テクニックといい、乗らせ方といい最高である。勿論、メセニーのギターも二人のサイドメンに刺激され、変幻自在のアドリブを展開している。バックに流れるシンセサイザーも効果的だ。
僕は、この曲を車の中で聴くと、ついついアクセルペダルに力が入ってしまうのだ。
スピード要注意の演奏だ。スピード感、疾走感、飛翔感といったものが渾然一体となって押し寄せてくる秀逸な1作。
このCDは逆の順番に聴いていくと良い。8曲目が "OLD FOLKS" 、7曲目が最近、必ずといってよいほど演奏される
"ALL THE THINGS YOU ARE"。この曲も、超アップテンポ。"OLD
FOLKS" は全編ミディアムテンポの2ビートで演奏している。軽いヘインズのブラッシュ・ワークはアドリブと同時にスティックに持ち替える。その後に続くホランドのベースソロも力強く良く歌っていてご機嫌。
6曲目の "CHANGE OF HEART" や4曲目の "NEVER TOO FAR AWAY"
はメセニーの手による曲だが、作曲家としても非凡な才能を見せている。印象に残る美しいメロディラインが好ましい。特に
"NEVER TOO FAR AWAY" は一度聴くと印象が強く残る佳曲。
そしてタイトル曲の "QUESTION & ANSWER" はメセニーの18番。
JAZZ批評 8."TRIO→ LIVE" でも演奏しているがこちらのほうが出来が良い。
全編を通して、ヘインズのドラミングが素晴らしい。今でこそ、ビル・スチュアートとか言って騒がれているが、ジャズ界に50年以上も君臨しつつ、今なお、こんな素晴らしいリズムをたたき出すドラマーがいることを、皆さん、お忘れではありませんか? (2001.09.16.)
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