PETER BEETS
1点注文をつけると、若干、潤い、もしくは、艶っぽさに欠ける
"NEW YORK TRIO PAGE 3"
PETER BEETS(p), REGINALD VEAL(b), HERLIN RILEY(ds)
2004年10月 スタジオ録音 (CRISS CROSS 1264 CD) 

@"PRELUDE IN E MINOR" コンポーザーはF.CHOPINとある。「チョピン?」いやいや「ショパン」ですね。ということはクラシックが素材!「前奏曲 ホ短調」ということか。この曲は最初に入っているだけあってなかなか良い!。ボサノバ調でドライブ感がある。ドラミングも軽快で、このHERLIN RILEYというドラマーはなかなか良いと思う。要、チェック。・・・・かつて、WYNTON MARSALISのバンドでやっていた経験もあるし、大西順子のトリオで今回のベーシスト、REGINALD VEALともコンビを組んでいた。このドラマーはシンバリングが良い。従って、どの曲も4ビートでのノリがご機嫌だ。

A"THE JUDGE" こちらは4ビート、ガツンガツンの演奏で前のめりのドライブ感が満喫できる。長めのベース・ソロが配置されている。黒人ベーシストにありがちな音程の悪さがところどころ見受けられるが、ビート感とガッツあるプレイがそれを補っている。8小節交換を経てテーマに戻る。
B"DEGAGE" 
Aに続いてこの曲もBEETSのオリジナル。この曲はBEETSの隠れた名盤 "FIRST DATE"(JAZZ批評 182.)でも取り上げられている。ミディアム・テンポのグルーヴィな曲。

C"TRISTITY" 
しっとり系バラード。このピアニストはしっとり系よりもガツンガツン4ビートがよく似合う。バラードで訴えるにはもう少し年齢が必要かもしれない。
D"I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM" 
実に気持ちの良いスウィング感溢れるアップ・テンポの演奏。高速のシンバリングに乗ってベースが唸り、ピアノが踊る。BEETSの指使いにも乱れがない。
E"IS IT WRONG TO BE RIGHT?" 

F"DJANGO" 
J.LEWISの名曲をブルージーに演奏。渋いなあ。こういうスタイルの演奏は聴いたことがない。新鮮だ。
G"PASSPORT" 
C.PARKERの書いたブルース。結局落ち着くところ、こういうフィーリングが一番合っているかも。テーマの後にベース・ソロ。ここのベースは良く歌っていていいね。その後には快いシンバリングに乗ってピアノが楽しげに歌う。3者の息もぴったりだ。ドラムス・ソロを経てテーマに戻る。

オランダ出身のPETER BEETSがNEW YORK TRIO(JAZZ批評 63. & 133.)を結成して、これが3作目になるが、その都度、メンバーが違う。メンバーを固定してその3者の奥行きを深めていこうという趣向ではないようだ。メンバー毎の新しさを追求していこうというのだろう。しかしながら、どの作品もBEETSの持つ個性が色濃く出ている。BEETSのピアノはハード・バップに根ざしてグルーヴィである。
このアルバムの場合、特にミディアム・テンポ以上の曲ではHERLIN RILEYの快いシンバリングと相俟ってハード・バップならではのノリの良さが満喫できる。

1点注文をつけると、若干、潤い、もしくは、艶っぽさに欠ける。BEETSの書いたオリジナル曲にも同じことが言え、色気がない。アドリブのためのテーマという印象が強く、ひとつの楽曲としてみた時に潤いと色っぽさに欠けるのが惜しい・・・と思う。
未だ若いから、これからという期待感も含め、4.5★とした。   (2005.05.15)




独断的JAZZ批評 270.