GEORGE ROBERT
それが、慣れから来たものかドラムスが代わったことによるものか良く分からない
"SOUL SEARCHING"
GEORGE ROBERT(as,ss), KENNY BARRON(p), RUFUS REID(b), BILLY HART(ds)
2003年12月 ライヴ録音 (DIW 947)
 

御茶ノ水のDISK UNIONの3F、新譜フロアーに足を踏み入れたときに掛かっていたのがこのアルバム。どこかで聞いた覚えのあるアルトの音色とフレーズで「ピーン」と来た。「間違いなくGEORGE ROBERTだ!」と。店員さんに聞いてみると「正解!」
たまたまアルトの演奏だから分かったが、ソプラノだったら分からなかったかも知れない。購入後にソプラノ演奏のAを聴いてみとまるでCOLTRANEのようだった。

正解した勢いでつい購入してしまった。久しぶりのワン・ホーンアルバムである。

GEORGE ROBERTと言えば、KENNY BARRONがいつも寄り添っていて、絶妙なインタープレイを披露してくれた。2000年録音の"SOUL EYES"(JAZZ批評 174.)と2002年録音の"PEACE"(JAZZ批評 147.)はともに素晴らしいアルバムだった。この"SOUL SEARCHING"は2003年12月に"SOUL EYES"と同じスイスのLAUSANNEにある"CHORUS"というジャズ・クラブでライヴ録音された。

@"NAMELY YOU" 
A"SOUL SEARCHING" ROBERTのオリジナル・ワルツ。ソプラノ・サックスでの演奏。アドリブではJ.COLTRANEの"MY FAVORITE THINGS"を彷彿とさせる演奏。
B"NOSTALGIE" 
いかにもROBERTらしい美しいオリジナル・バラード。艶やかなアルトの音色とベスト・マッチング。このサックス奏者にはこういう美しいバーラードが良く似合う。HARTのブラッシュ・ワークが面白いと言うか何て言うか・・・。しかし、こういう曲でのBARRONのピアノというのは泣かしどころを知っているなあ。次にREIDのベース・ソロが続き、テーマに戻る。

C"AFRICAN VILLAGE" ラテン・リズムのハード・ドライブ。
D"BLUES FOR TRANE" 
COLTRANEに捧げたROBERTのオリジナル・ブルース。最初のテーマをソプラノで歌い、途中でアルトに持ち替える。テーマは16小節だがアドリブはブルース形式の12小節で演奏されている。ドラムスもベースもバタついた感じ。

E"PEACE" 
タイトル曲(JAZZ批評 147.)にもなったROBERTのオリジナル。牧歌的な美しさに溢れた曲で何とも切ない。ソプラノとピアノのデュオ。
F"I'VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE" 
小粋な曲想にぴったり嵌るROBERTのアルト。全員で楽しくスウィング。
G"HERE'S THAT RAINY DAY" 
最後を締めるバラード。朗朗と歌い上げるアルトの音色が美しい。

GEORGE ROBERTと KENNY BARRON
の組み合わせというのは、先に紹介した2枚のアルバムをとってみても外れた例がない。安心して聴いていられる。しかし、だからと言って全て良しでもない。今回のライヴは今までに比べると少し荒い。それはROBERTのアルトにもBARRONのピアノにも、リズム陣にも言えることで、それが、慣れから来たものかドラムスが代わったことによるものか良く分からない。多分、両方だろう。   (2005.05.08)



独断的JAZZ批評 269.