CARSTEN DAHL
本当の凄さと感動は"MOON WATER"へと収斂していく
"THE BUTTERFLY DREAM"
CARSTEN DAHL(p)
1999年2、10月 スタジオ録音 (STORYVILLE STCD 4243)
最近のお気に入りピアニスト、CARSTEN DAHLのソロ・ピアノである。1999年の録音であるから今まで紹介したアルバムの中で一番古い。このピアニストを最初に聴いたのがJAZZ批評 221.の"GINMAN BLACKMAN DAHL!"で、次に、JAZZ批評 246.の"MOON WATER"を聴いて、これで決定的なファンになった。次に捜し求めたのがこのアルバムであり、JAZZ批評 261.の"MINOR MEETING"だった。この"MINOR MEETING"も大当たりだった。更に、捜し求めてゲットしたアルバムが次回掲載予定のニュー・アルバム"BLUE
TRAIN"(JAZZ批評 267.)である。
CARSTEN DAHLの作品には大別して2つのタイプがある。
ひとつが"MINOR MEETING"のタイプでスタンダードとジャズ・ジャイアンツのオリジナルを中心とした躍動感とドライブ感満載のアルバム。(マシュマロ・レーベル系)
もうひとつが"MOON WATER"のタイプで研ぎ澄まされた感性の横溢したアルバム。
この"THE BUTTERFLY DREAM"は"MOON WATER"に通ずるもので、謂わば、DAHLの心象風景を音楽に表したものだ。絵画で言えば、ラフ・スケッチのような作品集だ。シンプルに心のそのままを音楽にした。色づけもしていないスッピンの状態だ。だから、曲のタイトルも付いていない。まさにDAHLの感じたままの音楽であり、2003年録音の"MOON
WATER"へと繋がる伏線的アルバムである。
@"#1" 心象風景その1.
A"#2"
B"#3"
C"#4" アブストラクト。一体、どうやって弾くのだろう?凄いテクニック!
D"#5"
E"#6"
F"#7"
G"#8" アブストラクト、続編。
H"#9"
I"#10"
J"#11"
K"#12"
L"#13 THE BUTTERFLY DREAM"
M"#14"
どの曲も3〜4分の短めの演奏。通常の躍動感がある演奏を期待すると裏切られる。このアルバムの評価は非常に悩ましい。ポイントはDAHLの心象風景を共有できるか、否か。その一点であろう。ただし、このアルバムは後の傑作"MOON
WATER"へと繋がる伏線的アルバムであると捉えると未だ甘い点は点けられない。本当の凄さと感動は"MOON
WATER"へと収斂していく。 (2005.04.21)