独断的JAZZ批評 263.

GEORGE COLLIGAN
聴き疲れする
とても、癒しにはならない
"PAST-PREZENT-FUTURE"
GEORGE COLLIGAN(p), VINCENTE ARCHER(b), BILL STEWART(ds)
2003年10月 スタジオ録音 (CRISS CROSS JAZZ 1262 CD) 

意欲的なアルバムを提供するCRISS CROSSレーベルだったこと、そして、BILL STEWARTが参加しているので購入した。3月の始めにCDが届いて1回聴いてみたが、もうひとつ納得できない。で、どんどん後回しになった。いよいよ手持在庫がなくなってきたので、登場と相成った。
先に、結論を言おう。いつもの通り、BILL STEWARTのドラミングはよくスウィングし切れ味も鋭い。充分満足できる。しかし、如何せん、ピアノが詰まらない。このピアニストが演奏するとどの曲もモードに聴こえてしまう。大仰なブロックコードの連発が耳障りだ。そして、ビートの取り方に特徴があり、そこが非常に気になる。コードをあてるときに1、3拍目に入ることが多いのが気になるのだ。僕には理屈ではなくて生理的に受け付けられないタイプのピアニストだ。

@"SOPHISTICATED LADY" いきなり大仰なイントロとなる。ブロック・コード多用。はっきり言って、何にも面白くない。騒がしいだけ。
A"AKATUMBO" 単に素材に使いましたというだけで「赤とんぼ」とは何も関係ない。
B"EAST OF THE SUN" 
C"THIS NEARLY WAS MINE" 
D"PAST PREZENT FUTURE" 

E"THREE VIEWS OF A SECRET" ピアノ・ソロ。今は亡きエレキ・ベースの天才、J.PASTORIUSの書いた曲。山中千尋もかつてJAZZ批評 113."WHEN OCTOBER GOES"の中で演奏している。COLLIGANはここでもブロック・コードをガンガン入れて何やら喧しい。
F"CINEMA PARADISO" この曲はE.MORRICONEの書いた美しい曲だが、かつて、PAT METHENYが"BEYOND THE MISSOURI SKY"(JAZZ批評 6.)の中でアコースティック・ギターを使用し美しく歌い上げた。ここではCOLLIGANのピアノはお世辞にも流麗とは言えない、少し無骨な味のする演奏を披露している。

G"HOLIDAY FOR STRINGS" 流石のドラミング!やはりBILL STEWARTは凄い。これだけの高速4ビートでもシンバリングに揺るぎがない。
H"BODY AND SOUL" 
I"INVITATION" ここでもSTEWARTのシンバリングには聴き惚れてしまう。ベースと刻む高速の4ビートがいい。

こういう灰汁の強い個性的なピアノを良しとするリスナーも当然いるのだろうけど、僕は好まない。音符が矢鱈と多い。これはブロック・コードの多用という意味も含めて。また、メロディラインを含めて美しさに欠ける。だから、聴き疲れする。とても、癒しにはならない。どうもこのCOLLIGANには興が乗ってくるとブロック・コードを多用する癖があるようだ。
あ〜、疲れた!   (2005.04.03)



.