音の良さとそのバランスの良さと相俟って、ピアノ・トリオ・ファンには垂涎の1枚となるはず
"ROMAN SUN"
JOHN HARRISON V(p), PETER KONTRIMAS(b), ALAN HALL(ds)
2001年3月 スタジオ録音 (WHALING CITY SOUND WCS 008)

仙台市にある「ディスクノート」というJAZZ専門ショップに行ってきた。仙台出身のJAZZの友人が紹介してくれた店だ。ホームページも設置されているので、他店にないラインアップが紹介されていることは分かっていた。新譜の紹介コーナーでも全世界からの幅広いラインナップが用意されているようだ。
その噂の店に、仙台出張の帰りがけに寄ってみた。JAZZの専門コーナーが独立して用意されていて、品揃えもアナログLPからCDまで豊富。買取、下取りも行っている。勿論、ネット・ショッピングもOKだ。詳しくは「ディスクノート」のHPをご覧いただきたい。
店長にピアノ・トリオの希望を話したら何枚かを推薦してくれた。早速、4枚をゲット。アメリカ、イタリア、ニュージーランド、オーストラリアと国々もバラエティに富んだ。順次、紹介していきたいと思う。

今回は、その中からアメリカ盤を紹介しよう。
先ず、墨絵風のジャケットが良い。中に刻まれた音楽の素性が分かるというものだ。果たして、期待を裏切らない好演盤となっている。

@"IT'S YOU OR NO ONE" はっきり言うけど、こういう出だしに僕は弱い。軽快なシンバリングが聞こえてくるとこれだけでワクワクしてしまう。それに煽られる形でベースが逞しく4ビートを刻み、ピアノが楽しそうに鍵盤を上下する。これぞJAZZの醍醐味、JAZZの楽しさ。よく歌うベース・ソロも素敵だ!
A"SAGA OF HARRISON CRABFEATHERS" 哀愁を帯びた曲想に珠玉のピアノ・プレイと歌うようなドラミングが見事。

B"WATCHING THE YEARS GO BY" 2ビートで始まるテーマもアドリブでは4ビートに。「チンチカチンチカ」と刻まれるシンバルの音が最高!ピアノの音色はあくまでもクリア。
C"ROMAN SUN"  HARRISONのオリジナル。ボサノバ調からアドリブは4ビートへ。
D"BALLAD OF THE SAD YOUNG MEN" 今年の1月に紹介したJOE CHINDAMO"THE JOY OF STANDARDS VOL..2"(JAZZ批評 118.)にも登場する美しいバラード。
E"THE WAY YOU LOOK TONIGHT" JEROME KERNの名曲。

F"VELAS" 軽快なボサノバ調。
G"WILLOW WEEP FOR ME"
 ここでもシンバリングがいい!ベターっとしていない爽やかさがありながらアーシーな感じ。「へえー、やるねエ・・・・」と唸ってしまう。
H"YOU WON'T FORGET ME" スロー・バラード。これも良い。痺れるねエ。
I"RHYTHM-A-NING" 躍動感溢れる演奏でのめりこんでしまう。メロディ楽器が歌うかのごときドラム・ソロが凄い!

どの曲を取ってみても密度の高い演奏で最後の曲まで飽きさせることがない。何と言っても、甘さに流されないストレートな躍動感が横溢していて、ヨーロッパ・ジャズは甘くて嫌だという人にもうってつけ。
3人それぞれの力量が期待を裏切らないレベル、と言うよりも、とても上手い!その上、バランスもよくとれている。まだまだ世の中にはこういった隠れた名盤があるんだなあと痛感した。同時に、アメリカのジャズのすそ野の広さを認識させてくれた。
内容の良さとバランスの良さと相俟って、ピアノ・トリオ・ファンには垂涎の1枚となるはず。文句なしに、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加させてもらった。    (2003.12.06)



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JOHN HARRISON V

独断的JAZZ批評 167.