a独断的JAZZ批評 223.

SOREN MOLLER
良いテーマがあって、
初めて、良いアドリブ=良いジャズが生まれるのだと
そういうことを痛感する1枚
"LET THERE BE LOVE LIVE"
SOREN MOLLER(p), MORTEN RAMSBOL(b), KARSTEN BAGGE(ds)
2003年9月 ライヴ録音 (MUSIC MECCA CD 4059-2) 

デンマークのCOPENHARGEN JAZZHOUSE におけるライブ録音盤。同じジャズハウスで2002年8月に録音されたPETER ROSENDALのピアノ・トリオ"LIVE AT COPENHARGEN JAZZHOUSE"(JAZZ批評 162.)は秀逸なアルバムだった。これ、僕のお気に入り。
翻って、このアルバム、いかにも屈強な体型とゴツイ顔つきに力強いプレイを連想させるが、これでいて、結構ナイーブであり、センシティブ。想像力を逞しくするよりは、スピーカから流れ出る音楽を素直に聴くべきだろう。少なくともバップ・スタイルではない。むしろ、今風のヨーロッパ・ジャズとしての楽しみのほうが高いかも知れない。

@"LET THERE BE LOVE" イントロでいきなりガツンと来るけど、アドリブから急転、快い4ビートを刻む。ピアノも楽しげにスウィング、ベースが唸り、ドラムスがキープ。ブルージーだけど垢抜けている。この辺がヨーロッパの匂いというのだろうか。ベース・ソロ〜ドラムス・ソロと続いてテーマに戻る。これはご機嫌になれる!
A"ALL GOOD THINGS COMES TO HE WHO WAITS" MOLLERのオリジナル。美しい曲であるが叙情に流れる嫌いがある。
B"EVERYTHING HAPPENS TO ME" スタンダード・ナンバー。
C"DRUMISTIC" 

D"THE NEARNESS OF YOU" 顔に似合わず(失礼!)しっとりとしたメロディックなプレイに終始する。スローでも躍動感を失っていない。ドラムスのメロディックなプレイもグッドだ。曲が良くてプレイも良ければ言うことなし。
JAZZ批評 181.のBRAD MEHLDAUのゾクゾクするような抑制された演奏と比較しても面白い。

E"THE AWAKENING" テーマといいアドリブといい斬新さがある。ベースもドラムスもゴリゴリ、ガリガリと弾きまくる。ハードプレイだが、雑ではない。
F"EASY TO LOVE" COLE PORTERの名曲。定型的なリズムパターンがしばらく続き未だか未だかと待っていると、やっと来ました4ビート。と、すぐに4小節交換に移ってしまい、イライラが募る。あ〜あ、一度くらい怒涛の4ビートを刻んで欲しかったなあ!
G"SOREN'S HIT TUNE" 

このアルバム、結構、ムラがある。均一ではない。Dのような素晴らしい演奏があったかと思うとCのような情感の無い無機的な演奏がある。演奏にもう少し陰影と奥深さがあればGOODだ。
KENNY BARRONがライナーノーツで推奨しているようだが・・・。
こういうアルバムを聴いているとつくづく、テーマの重要性が身に沁みるのだ。良いテーマがあって、初めて、良いアドリブ=良いジャズが生まれるのだと。そういうことを痛感する1枚。   (2004.10.02)