GERI ALLEN
テーマが詰まらない曲はアドリブも面白くないというのが僕の定説
"THE LIFE OF A SONG"
GERI ALLEN(p), DAVE HOLLAND(b), JACK DeJOHNETTE(ds),
JのみMARCUSBELGRAVE(flh),DWIGHT ANDREWS(sax),CLIFTON ANDERSON(tb)
2004年1月 スタジオ録音 (TELARC UCCT-1098) 

かつて、GERI ALENのアルバムでは1989年録音の"SEGMENTS"というアルバムを持っていたが、何回聴いても心に響かなくて、結局は処分してしまった。勿論、このJAZZ批評に載せることもなかった。メンバーのCHARLIE HADEN(b),PAUL MOTIAN(ds)という構成に惹かれたのであったが、結果は「否」とでた。変に理屈っぽくて小難しい印象ばかりが残った。
今回は2枚目の挑戦である。前回のサイドメンも面子的は素晴らしかったが、今回のサイドメンも凄い。HOLLAND & DeJOHNETTEというメンバーは今をときめく名プレイヤーと同時に、僕のお気に入りプレイヤーの二人でもある。さて、その結果には如何に?

@"LWB'S HOUSE" こういうテーマは苦手だな。気を持たせて、裏切るという感じ。
A"MOUNTS AND MOUNTAINS" HOLLANDの巧みなベースワークが良いなと思っていると、陳腐な定型パターンに入ってガクッ!ピアノの自由度は増すのだろうけど、結果が面白くなくてはね!

B"LUSH LIFE" BILLY STRAYHORNの書いた名曲。情感たっぷりのイントロからテーマへ。アドリブでは理屈を捏ね回すような印象が残ってしまって残念だ。もっと、素直にスキッと行きたいものだ。
C"IN APPRECIATION: A CELEBRATION SONG" 陳腐な8ビート。詰まらん。

D"THE EXPERIMENTAL MOVEMENT" 
E"HOLDIN' COURT" 
F"DANCE OF THE INFIDELS" BUD POWELLの曲。ダラーっとしたテーマ演奏で、気が抜ける。
G"UNCONDITIONAL LOVE" 
H"THE LIFE OF A SONG" 

I"BLACK BOTTOM" 8ビート。ありきたりの演奏で陳腐。
J"SOUL EYES" この名曲は最初の一音からして良い。3者の緊密感が表れている。それに加えて、この曲のみフリューゲルホン、サックス、トロンボーンが参加している。このアルバムのベスト。

得てしてこういう独創性の強いプレイヤーには更に独創性の強い自作の曲よりも、スタンダードを素直に演じてもらった方がその強い個性が薄まり、凡人には受け入れ易いと思うのだが、そこがなかなかそうは行かない。B、F、Jをのぞく全ての曲がALLENのオリジナル。これが概して面白くない。テーマが詰まらない曲はアドリブも面白くないというのが僕の定説。今をときめくサイドメンに恵まれながらもその力が発揮できままに終わってしまったという印象。また、聴きたいという気持ちも起こらない。ご苦労様でした!   (2004.10.06)



独断的JAZZ批評 224.