"TRIO"
SANDER TOURNIER(p), ALEKSANDER MILOSEVIC(b), JONAS FILTENBORG(ds)
1997年6月 スタジオ録音 (STEMRA C6611)
今回紹介するのはニュージーランド発のアルバム。ジャケットのメンバーの写真を見る限りとっても若いグループだ。20歳台前半だろうか?若い割には落ち着きを感じるが、逆に言うと、ガッツやバイタリティには欠けるかもしれない。この辺は聞く人の好みだろうけど、僕にはもうひとつ淡白な感じがして面白くない。
@"IN YOUR OWN SWEET WAY" DAVE BRUBECKの曲。ジャズ・ファンなら「ああ、この曲か!」と手を打つだろう。曲が進むに連れてノリが良くなってくる。ピアノは弾き過ぎず、かと言って、朴訥と言うわけでもない。中庸の良さだろう。ピアノタッチも綺麗だ。ところどころベースとの噛みあわせが悪くなる部分があるが、これがじれったい。更に、最後のフェードアウトも頂けない。
A"PRA ELE" 哀愁のある3/4拍子のテーマ。ベースの定型パターンに乗ってピアノがアドリブを取る。流石に若い世代、こういう曲でのノリは良い。
B"500 MILES HIGH" CHICK COREAの曲。ボサノバ調の軽いノリ。
C"JUST FOR YOU" これも哀愁を帯びた曲で8ビートで演奏している。いくらやってもいいが、深みのない演奏は、所詮、いくらやっても深みがないままで終わってしまう。
D"STELLA BY STARLIGHT" アドリブでは活きの良い演奏をするが、ドラム・ソロでのピアノのパターン化したバッキングがくどい。
E"BEAUTIFUL LOVE" VICTOR YOUNGの名曲。EVANS〜LAFARO〜MOTIANのドライブ感溢れる名演でも良く知られている(
JAZZ批評 158."EXPLORATIONS")。また、
JAZZ批評 136."TAKASHI"の好演も見逃せない。対して、このアルバムはボサノバ調。聴き易く綺麗にまとまってはいるが、前者二つに比べると物足りないし食い足りない。
F"MY FUNNY VALENTINE" 叙情的なピアノ・ソロに終始する。
G"WINDOWS" Bと同様にCHICK COREAの曲だが、こんなにも詰まらない曲だったのかと耳を疑った。
H"ORPHEO NEGRO/AGUA DE BEBER" 「黒いオルフェ」ともう1曲、2曲併せてやってみましたと。
I"INSENSATEZ" ANTONIO CARLOS JOBINの曲をピアノ・ソロで情感たっぷりに歌う。
若いうちからこのように「毒のない演奏」でまとまる必要はないと思うのだが・・・。良いものは持っているとは思うが、果たして、今の生き方で良いのかアイデンティティーを考える必要があるだろう。
どうもこういうドライブ感や個性のない演奏というのは性に合わない。ついつい辛口になってしまう。お許しを。 (2003.12.20)