"ALL THE WAY"
豊かな表現力で歌い上げたこの曲に僕は惚れた
何回も繰り返して聴きたくなる1曲
"ai"
KAZUKO BABA(p), YOSUKE INOUE(b), TARO KOYAMA(ds)
2001年スタジオ録音(PSR#J090501)

最近日本人女性ピアニストがやたら元気だ。先のJAZZ批評 101.で紹介したAKIKO GRACE といい、このあとに紹介する予定の山中千尋といい、男勝りのガッツで魅了している。

この馬場和子の"ai" はHMVの試聴でGREAT JAZZ TRIO"AUTUMN LEAVES" と比較してみたが、迷わずこちらを取った。GJTは往年の看板スターの顔見世興行的色彩が強く、新しさに欠けたので止めた。

この"ai"は是非とも最後のG"ALL THE WAY" から聴いて欲しい。この曲に限ってピアノ・ソロで演奏しているが、この人の力量とイマジネーションを如何なく発揮している1曲だと思う。JAZZ批評 64.のLEE MORGANが切々と歌った名曲を見事にソロで演じきっている。ソロというのは騙しがきかない。そのピアニストの力量、イマジネーションが赤裸々に表現されてしまう。恐らく、ピアニストにとっては恐ろしくも、やりがいのある演奏スタイルだと思う。そこを豊かな表現力で歌い上げたこの曲に僕は惚れた。こういう歌心に弱い。

上記G以外は全て馬場和子のオリジナル。
@"SACRIFICE" 軽快な4ビートのシンバリングに乗って快いスウィング感がGOOD!
A"DETINY OF TWO" テーマが面白い。ベースとのデュオで始まるが、アドリブに入るとボサノバ調。右手による高音部のシングルトーンが愛らしい。ベース・ソロも良く歌っている。
B"LAST DATE" 軽快なドラミングに乗せてベースとピアノが躍動する。熱っぽい演奏を披露する。

C"BITTER SWEET" メランコリックなミディアム・テンポの佳曲。こうした情感たっぷり系の曲は馬場の個性に合っているみたい。
D"SEE YOU IN THE DREAM" 軽快なドラミングに乗って、ベースの井上も気持ちよさそうにスウィング。派手さはないがGOOD!
E"NOT HERE" どこかで聴いたことのある・・・。あっ!思い出した。GEORGES ARVANITAS "RECONTRE" (JAZZ批評 10.)1曲目"FOOTPRINTS"だ!出だしのベース・パターンの雰囲気が似ている。
F"YOU SHOULD TELL ME" ボサノバのリズムも軽快に美しいメロディ・ラインを編んでいく。
馬場のオリジナル全7曲はユニークな味わいがあるし、どれも好曲だ。

スタンダード・ナンバーGのソロは特に伸び伸びとした表現力に溢れている。曲の良さと相俟って何回も繰り返して聴きたくなる1曲。"WONDERFUL!"  (2002.12.15)


KAZUKO BABA

独断的JAZZ批評 112.