ほんの少し、
リスナーを意識した迎合の匂いを感じるのだけど・・・
"NIGHT BLOSSOM"
MICHEL SARDABY(p), JAY LEONHART(b), ALBERT "TOOTIE" HEATH(ds)
1990年スタジオ録音 (DIW-2002)

1990年の来日時に録音したアルバム。今回の再発に際してジャケットも一新された。何故、「女性」なのか分からない!?少なくともCDの中身の演奏とは関係のないところ、即ち、商業的な理由などで変更されたのだろう。多分、女性の写真をジャケットに持ってくれば売れ行きに好影響を及ぼすのだろう。こういう「あざとさ」が嫌いだ。日本プロデュースのCDにはこの手のジャケットが蔓延している。
最近、ジャケットのデザインから匂い立つような音楽をイメージできるジャケットが少なくなった。かつて紹介したDAVE McKENNA"THE PIANO SCENE OF DAVE McKENNA"
JAZZ批評 43.)のように、ジャケットを見てるだけでも音楽が湧き出てくるような、匂い立つようなアルバムが少なくなったのは残念なことだ。

1972年録音の既紹介アルバム"IN NEW YORK"(JAZZ批評 91.)に比べると、良く言えば「洗練された」、悪く言えば「個性が失われた」アルバムとなった。
"IN NEW YORK"はベースにRICHARD DAVISという曲者ベーシストを迎え、緊張感の高まりと同時に、SARDABYのメランコリックな一面がひとつの個性的な味わいとなって活かされていた。因みに、ジャケットはSARDABYのメランコリックな表情が大写しになっていて、これがまたいい!
本アルバムではその個性が失われ、洗練された都会的な演奏になっている。そもそもJAY LEONHARTのベースはDAVISのそれと比較すると灰汁や個性がないので、当然といえば当然の結果と言えるだろう。

@"MADRUGADA"。ボサノバ調の軽いノリ。
B"FOR ALL WE KNOW"。甘美に流れる。この曲は BRAD MEHLDAUが"SONGS"(JAZZ批評 02.)で演奏しているが、聴き比べてみるのも面白い。後者では胸を締め付けるような「深み」を感じていただけると思う。
C"WAY FARER"。アップテンポのブルース。
D"FALLING IN LOVE WITH LOVE"。ミディアム・テンポに乗って陽気にスウィング。SARDABYがこんな演奏をするとは変われば変わるものだ。
Eタイトル曲"NIGHT BLOSSOM"。テーマは重く暗いが、アドリブでは軽減する。
F"FAREWELL TOKYO"。ミディアムテンポのブルース。本アルバム中一番の出来。これは楽しい。ブルージーというよりは洗練された、ブルース。
G"SINGLE PETAL OF A ROSE"。ピアノ・ソロで締めくくり。

確かに1972年から18年後の録音であるので、世の中もミュージシャンも大きく変化したとしても、それは当然のことかもしれない。
洗練された都会的なSARDABYのジャズとて、時間のなせる当然の帰結と捉えることも出来る。僕には、ほんの少し、リスナーを意識した迎合の匂いを感じるのだけど・・・。
(2002.10.08)
MICHEL SARDABY

独断的JAZZ批評 102.