BGMとして最適と思われる条件が整っており、安全、無害
残念ながら、美しいだけでは満足できない
"THE LOOK OF LOVE"
PETER NORDAHL(p), PATRIK BOMAN(b), RUNE CARLSSON(ds)
2002(?)年スタジオ録音 (DISCS SOL J-0011)

今や、ピアノ・トリオ・ブームらしい。そういえば、HMVなどに行ってもピアノ・トリオ・コーナーがあったりして、新譜については結構な枚数を試聴出来る。
昔はレコードを買うに際して、ジャズ喫茶に通って購入すべきレコードのチェックをしたものだ。そのジャズ喫茶が消えてしまった今は、こうした試聴システムは有難い。
最近、ヨーロッパのジャズが脚光を浴びる背景はこうしたピアノ・トリオのブームと無縁ではないだろう。最近はラーメン店などでもBGMとしてジャズが使われていたりする。BGMにピアノ・トリオは最適かもしれない。そんなこんなでBGM的ピアノ・トリオが毎月発売されては消えていく。

このCDもスウェーデン発のそんな1枚。ヨーロッパのピアノ・トリオは概して、甘く優しい響きをもっている。"AUTUMN LEAVES"を試聴してから購入したのだが、ちょっと思惑と外れた。全体としては非常に甘くて優しい演奏で、まさに、BGMにうってつけの1枚といえる。

(1)透明感のある甘く優しいピアノの響きである。
(2)全編、ブラッシュ・ワークである。スティックを一度も使うことがない。
以上、BGMに最適と思われる条件がすっかり整っている。
その上で、良くも悪しくもベース・ラインのパターン化を多用していることがこのCDの個性となっている。

@"THE LOOK OF LOVE"。BURT BACHARACHの名曲。最近、DIANA KRALLのヒットで脚光を浴びた。甘い旋律と相反する泥臭いベース・パターン。
B"AUTUMN LEAVES"。JULIAN "CANNONBALL" ADDERLEYの名盤"SOMETHIN' ELSE"の「枯葉」のベース・パターンを拝借。
E"LULLABY"。GEORGE GERSHWINのオリジナル。同じく、ベース・パターンを多用。
F"HYMN TO FREEDOM"。OSCAR PETERSONのオリジナル。「自由への賛歌」

以上、全7曲。どれをとっても安全、無害。一度、聴くと飽きる。何回も意識して聴こうとは思わない。それ故、無意識に聴けるBGMが最適。それを覚悟して買うべき。
残念ながら、僕には美しいだけでは満足できない。              (2002.10.09)
PETER NORDAHL

独断的JAZZ批評 103.