内面的な表現力を強く押し出している
HADEN作の名曲"FAIRST SONG"に
挑戦しているあたりが象徴的だ
"DISCOVERY-LIVE AT MONTREUX"
GONZALO RUBALCABA(p), CHARLIE HADEN(b), PAUL MOTIAN(ds) 
1990年MONTREUX JAZZ FESTIVAL ライヴ録音(BLUE NOTE CDP 7 95478 2)


GONZALO RUBALCABAの作品では1997年録音の"THE TRIO"(JAZZ批評 29.)
を既に紹介しているが、それに遡ること7年前の1990年、モンタレー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音盤。97年盤がBRIAN BROMBERG(b),DENNIS CHAMBERS(ds)というテクニシャンの起用で超絶技巧大会の様相を呈していたが、この90年盤はちょっと違う。ベースのCHARLIE HADEN といい、ドラムスのPAUL MOTIANといいテクニックをひらけすタイプではないので、もっと内面的な表現力を強く押し出している。

HADEN作の名曲C"FAIRST SONG"に挑戦しているあたりが象徴的だ。曲の美しさもさることながらピアノとベースの抑制された表現がより深みを持たせている。秀逸な出来映だ。HADENのベース表現は朴訥と言うのではないが、非常にナチュラルな感覚が常にあって、その影響力を伝染させる名人である。
何故か不思議と共演者達がナチュラルな感覚を呼び起こさせられるようだ。PAT METHENY(JAZZ批評 6.)やKENNY BARRON(JAZZ批評 16.)とのデュオ・アルバムもそのナチュラルな感覚が好評を得た作品といってよいだろう。

@MONKの"WELL YOU NEEDN'T"。強烈なドライブ感の中でGONZALOの両手がピアノの鍵盤上を所狭しと駆け回る。
ARUBALCABAのオリジナル"VELAS"。一転して、ラテン調の美しい曲。徐々にテンションが高まっていき、また、静かな曲想に戻る。
B同じくのRUBALCABAオリジナル。カリプソ風の陽気な曲をピアノ・ソロで演奏。ピアノの響きは歯切れが良く、ベターっとしていないのが良い。
CHADENのベース・ソロも聴き所。
DドラムスのMOTIANのオリジナル。"ONCE AROUND THE PARK"
ERUBALCABAのオリジナル。"JOAO"暗く哀しいバラード。
Fスタンダード・ナンバー"ALL THE THINGS YOU ARE"。テーマの後はミディアム・テンポの4ビートで軽快にスウィングする。RUBALCABAのようなピアノにあっても力強いサポートがあると自由度が増して、思い切りの良い演奏ができるものだ。ベース〜ドラムスとソロが続き、その後、テーマに戻る。

キューバ出身のRUBALCABAのピアノが脚光を浴びるようになったのがこのアルバム以降。まだまだこれからの可能性を秘めたピアニストである。  (2002.09.14)



GONZALO RUBALCABA

独断的JAZZ批評 96.