独断的JAZZ批評 934.

YOSHIO SUZUKI & YOSHIAKI MASUO
ほのぼのとした幸せ感!
"AROUND THE WORLD"
増尾 好秋(g), 鈴木 良雄(b)
2011年3月 スタジオ録音 (ONE : FNCJ-1005)


早大モダン・ジャズ研究会の1年先輩のチンさんと後輩の増尾のデュオは出会いから45年経った2011年に完全デュオという形で実現した。
早大時代、チンサンは最初ピアノを弾いていたが、悪戯が高じてベース弾きとなった。チンさんの歌心溢れるベースラインはピアノの経験が生きているのだろう。
その後、二人は渡辺貞夫の誘いを受けてカルテットの一員となった。
渡辺貞夫カルテットの後、二人の歩んだ道はそれぞれ違ったが、45年経って完全デュオという形で再び邂逅したのが本アルバム。

@"SAILING & ROLLING" オープニングを飾る爽やかなテーマ。チンさんのオリジナル。良く歌うベース・ラインが素晴らしい。おお!風が吹き抜けていく!
A"AROUND THE WORLD IN 80 DAYS" 
VICTOR YOUNGのヒット曲。これも実に爽やか。船上で風を感じながらビールを飲んでいる気分。
B"I'LL BE WITH YOU" 
今度は増尾のオリジナル。なんて爽やかなんだ!増尾のギターは音色が優しくてとても良い音色だ。
C"A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE" 
大好きな曲のひとつ。心の通うアンサンブルで、もう最高!
D"MOON THROUGH THE WINDOW" 
E"MY IDEAL" 
スタンダード。ここではチンさんがテーマを執る。正確な音程で心地良い。
F"IN THE FIELD" 
タイトル通りの心地よさ。全編に流れる爽やかな風がキー・ワードかな?
G"MINOR ADJUSTMENT" 
増尾の書いたブルース。いかにもジャズ・チューンという1曲が入った。WES MONTGOMERY並のオクターブ奏法も披露している。
H"DEEP IN A DREAM" 
スタンダード。ベースとギターのデュオでありながらも余分なものも足りないものもない。
I"LAST LOVE" 
マイナー調のチンさんのオリジナル。ベース・ソロが泣いている。
J"CORVALLIS" 
増尾のオリジナル。テーマをベースが執る。この曲は3回目の録音だという。
K"MUSIC FROM THE LAKE"
 ゆったりと揺蕩うメロディ。

ベースとギターのデュオというと、PAT METHEYとCHARLIE HADENの"BEYOND THE MISSOURI SKY"(JAZZ批評 686.)や2014年のベスト・アルバムの1枚に選定したULF MEYER & MARTIN WINDの"AT ORPHEUS THEATER LIVE MAY 2012"(JAZZ批評 857.)をすぐさま思い出すが、本アルバムも甲乙付け難い素晴らしいアルバムだ。
心の通い合う素晴らしいアンサンブルとほのぼのとした幸せ感。全編を通して、爽やかな風を感じる。窓を開け放って薫風と一緒に聴きてみたい音楽だということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2015.04.28)

試聴サイト:http://www.amazon.co.jp/Around-The-World-%E9%88%B4%E6%9C%A8%E8%89%AF%E9%9B%84-%E5%A2%97%E5%B0%BE%E5%A5%BD%E7%A7%8B/dp/B004TR602W



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