THEO HILL
コンテンポラリーなジャズを目指したかったのだろうか?
"LIVE AT SMALLS"
DAYNA STEPHENS(ts, EWI), MYRON WALDEN(as), THEO HILL(p), JOE SANDERS(b),
RODNEY GREEN(ds)
2015年1月リリース ライヴ録音 (SMALLSLIVE : SL-0044)
つい先日紹介したDAYNA STEPHENSのリーダー・アルバム"PEACE"(JAZZ批評 916.)はデュオからクインテットまで曲毎にフォーマットを変えたバラード集であった。錚々たるメンバーが参加していたが、いずれも脇役に徹していた。それでも、聴きどころの多い素晴らしいアルバムだった。STEPHENSのバリトン、テナー、アルトと持ち替えた多彩なプレイも光っていた。
本アルバムは、そのSTEPHENSが参加した"SMALLS"におけるライヴ録音盤。リーダーはピアノのTHEO HILLだ。このピアニスト、日本ではほとんど無名に近いけど、この"SMALLS"の常連ピアニストらしい。年齢も30代半ばだという。
@"ELLIPSE" 頼りなげなテナーの音色で始まる。続くSANDERSのベースはビートがあっていいね。やっていることはコンテンポラリーなアメリカのジャズっていう雰囲気だ。テンションが徐々に高まってきて終わる。
A"TEETH" STEPHENSはEWI(イーウィ:ウィンドシンセサイザー。木管楽器のシンセサイザー版)を使用している。シンセサイザーとある様に多彩な音色を出すことが出来るが、それが良かったかどうかはクエスチョン?勿論、僕はNO
GOOD!だ。RODNEYの叩きっぷりがいい!。
B"FOUR BY FIVE" アドリブは高速4-ビートのモーダルな演奏だ。ギンギンギラギラに熱い!最近、こういう熱い演奏って聴いていなかったなあ!HILLのピアノもタッチが強くて力強い。ライヴならではの熱っぽさがあって、これは良いね。
C"NAIMA'S LULLABY" ごつくて太いベース音だ。このJOE SANDERSといい、BEN WILLIAMS(JAZZ批評 653.)といい、EDWIN LIVINGSTON(JAZZ批評 867.)といい、良い若手の黒人ベーシストが出てきたなあ!
D"IRIS" EWIを使用。まるでエレキ・ギターの音色に聞こえないこともない。あえて、EWIを使用した理由は分からないけど、その一方で、HILLのバッキングが素晴らしい!
E"PROMISE OF THE SUN" EWIが終わった後のピアノ・トリオがいいね。ミディアムテンポで奏でるHILLのピアノは音符多目だが演奏に切れがある。ここでもRODNEYのドラムスがイキイキと飛び跳ねている。
F"MANTRA ft. Myron Walden" ここではアルトのMYRON WALDENがフィーチャーされている。モーダルな演奏で最長の約13分。HILLの熱いピアノプレイは聴き応えあり!やはり、"SMALLS"の常連プレイヤーになるだけのものを持ってるね。
G"WITHOUT A SONG" スタンダード。STEPHENSはテナーを握っている。これは、普通にいいね。これで良いんだ、これが良いんだ!
返す返すも、STEPHENSのEWIの使用は余分だった。せめて、テナー+ソプラノ程度で良かったのではないか?コンテンポラリーなジャズを目指したかったのだろうか?
ピアニスト・THEO HILLの演奏はバッキングといい、ソロといい、演奏が切れていていいね。このメンバー、即ち、JOE SANDERS+RODNEY
GREENによるトリオ・アルバムがあれば是非、聴いてみたいと思った。 (2015.03.06)
試聴サイト:https://itunes.apple.com/us/album/theo-hill-live-at-smalls-feat./id923666447
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