独断的JAZZ批評 924.

JON DAVIS
汗をかかないジャズ
"MOVING RIGHT ALONG"
JON DAVIS(p), 中村恭士(b), 高橋信之介(ds)
2014年10月 スタジオ録音 (POSI-TONE : PR813)


長いことレビューを書き続けていると、人間っていうのは段々保守的になってきて、いわゆる、安全牌志向になってしまうようだ。そんな反省を踏まえ、今年は初見のミュージシャンを意識的に取り上げてきた。今年、レビューを書いた11枚のうち7枚が初見のミュージシャンだ。
本アルバム、JON DAVISも初めて聴くピアニストだ。サイドメンにはニューヨークで活躍する日本人ミュージシャンがサポートしているのも背中を押してくれた。
最近は美メロ、低温度感、饒舌音符過多、加えて軟弱ベースのヨーロッパ・ジャズには食傷気味で、目指すはアメリカの骨太なジャズだ。僕の中では、いわゆる、原点回帰が始まっているのかも知れない。

@"MOVING RIGHT ALONG" これこれ!まずは心地よい4ビートを刻みだすと心が躍る。お洒落で粋だね。中村も高橋も好サポート。
A"UNDER THE STAIRWAY" 
B"MOMENT'S NOTICE" 
COLTRANEの書いた名曲。むしろ、端正な感じのする演奏で、もっと熱くなっても良いかな?高橋のドラムスが少しオフ気味に聴こえるのは残念だ。
C"BEAUTY AND THE BLUES" 
DAVISのオリジナル・バラード。甘いだけでなくて、グルーヴ感が溢れていていいね。
D"I'VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE" 
スタンダード。聴けば、ああこの曲かと思い出す。ここではインタープレイ重視。
E"REFLECTIONS" 
MONKの曲。しっとりと美しいピアノ・ソロ。
F"SHE'S LEAVING HOME" 
LENNON/McCARTNEYの曲が何気に挿入されていたりして・・・。品よくまとめたという感じで物足りない。
G"PORTRAIT OF TRACY" 
これはエレキ・ベースの天才として一世を風靡したJACO PASTORIUSの書いた曲。ここでは中村のベース・ソロが聴ける。やや幻想的で浮遊感のある演奏だ。
H"DANIA" 
これもPASTORIUSの曲。2曲も挿入させているところが面白い。何かの拘りがあるのだろうか?ここでは4ビートを刻みハードなプレイを聴かせる。
I"JUST IN CASE" 
DAVISのオリジナル。いい曲だ。ピアノもベースもドラムスも3者が伸びやかに歌っている。これは良いね。ノリノリの中村のベース・ソロも最高!当たり前だけど、「ノッテいる」っていうことが大事なんだ!
J"PENSIVE PUFF" 
DAVISのオリジナルはクールな曲が多いね。もう少し熱っぽさを感じるとなお良いけどね・・・。
K"I GOTTA RIGHT TO SING THE BLUES"
 最後を締めるピアノ・ソロ。

DAVISのオリジナルが5曲、カバー曲が5曲、スタンダード2曲という構成になっている。全体的にクールな印象が強い。汗をかかないジャズってとこだ。その分、少し物足りない。
それとベースとドラムスがオフ気味で音像が遠く感じられる。ちょっと生々しさに欠けるのが残念だ。   (2015.03.11)

試聴サイト:
https://soundcloud.com/posi-tone-records/01-moving-right-along



.