独断的JAZZ批評 918.

NAOKO TANAKA TRIO
セカンド・アルバムは先の先輩に倣って、ベースにLARRY GRENADIER、ドラムスにBILL STEWART、もしくは、JEFF BALLARDなんていう凄腕とトリオを組むのも面白いかもしれない
"MEMORIES"
田中菜緒子(p), 安田幸司(b), 安藤正則(ds), 岡崎好朗(tp on E, G), 安ヵ川大樹(b on H)
2014年10月 スタジオ録音 (D-NEO : DNCD05)

日本の女性ピアニスト、田中菜緒子は日本の代表的ベーシスト・安ヵ川大樹が主催するD-MUSICAレーベルからの登場である。

@"SAILING" 快活で清々しさもあるオープニング曲。ジャズらしくないと言えばジャズらしくないテーマだ。
A"SINGH OF SPRING" 
一転して、女性らしい優しい肌触りの曲。加えて、どこか日本らしい雰囲気も。
B"CATO-CHA" 
どうも加藤茶とは関係ないらしい。ラテンタッチの曲で地名との関係があるのだろうか?ここでは安田の骨太なベース・ワークを聴ける。
C"そらもよう" 
安田のベースがテーマを執るしっとりバラード。どこかぎこちなさがあるけど、太くて逞しい音色だ。ギターのようにしゃあしゃあと弾かれるよりはいい。
D"BUT NOT FOR ME" 
言わずと知れたスタンダード。こういう聞古されたスタンダードの料理の仕方っていうのは興味深い。新しいアルバムを購入した時に真っ先にチェックするのはスタンダードだ。で、本アルバムは極めてオーソドックスな展開で肩肘張ったところがない。キラキラとピアノが輝いている。
E"NYの思い出" 
トランペットが参加。和気あいあいとした感じで和むね。
F"WALL STREET BLUES" 
リズムが多様に変化するが、上手く噛みあっていないような。最後のドラム・ソロは迫力不足。もっとガツンと行って欲しかった。
G"FOR・・・" 
これもトランペット参加曲。ハッピーな演奏だ。
H"NOCTURNE OP. 48-1" 
この曲のみ、安ヵ川(b)とのデュオ。流石のアルコ。アルコを弾かせたら、この人の右に出る日本のジャズ・ベーシストはいないだろう。欲しいのはこの演奏のような、流れるような、そして、熱く迸る歌心であり、緊密感なのだ。田中のピアノも明らかに歌っているもの・・・。

本アルバムは田中菜緒子の初リーダー・アルバムだという。
お初となれば、緊張もするだろうし硬くもなるだろう。もっと、緊密感や一体感が増してくると良いだろう。
日本の女流ピアニストの傑作と言えば、AKIKO GRACEの"MANHATTAN STORY"(JAZZ批評 101.)や山中千尋の"WHEN OCTOBER GOES"(JAZZ批評 113.)を思い出すが、いずれもセカンド・アルバムだった。
未だ若いし伸びしろたっぷりの田中菜緒子のことだから、次にはもっと素晴らしいアルバムを提供してくれるだろうという期待感もあって、少々辛口になったかもしれない。
セカンド・アルバムは先の先輩に倣って、ベースにLARRY GRENADIER、ドラムスにBILL STEWART、もしくは、JEFF BALLARDなんていう凄腕とトリオを組むのも面白いかもしれない。   (2015.01.30)

試聴サイト:http://www.d-musica.co.jp/release/neo/DNCD-05.html



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