独断的JAZZ批評 917.

JOE LOCKE
ジャケットの写真から醸し出される雰囲気がそのまま音楽に乗り移ったような感じ
"LAY DOWN MY HEART BLUES & BALLADS VOL 1"
JOE LOCKE(vib), RYAN COHAN(p), DAVID FINCK(b), JAIMEO BROWN(ds)
2012年10月 スタジオ録音 (MOTEMA : MTM-121)

このプレイヤーも初聴き。
久しぶりに、ヴァイブがリーダーのアルバムだ。ヴァイブと言えば、GARY BURTON以外にほとんど聴いたことがない。何しろ、ヴァイブの傑作と言ったら1967年録音の"DUSTER"(JAZZ批評 74.)だと頑なに思っているくらいだから、推して知るべし。
YouTubeで"AIN'T NO SUNSHINE"を聴いてぶっ飛んだ!兎に角、カッコいいのだ!

@"AIN'T NO SUNSHINE" まず、曲の入り方がいいね。ドラムスと重低音のベース、そして、キレキレのピアノのイントロからヴァイブがここぞとばかりに入ってくる。ここを聴いただけで星5つは固いと思った。ヴァイブとピアノの相性も凄く良い。加えて、グルーブ感満載だ!このRYAN COHANのピアノを聴いて、あちこち探し回ったけど、トリオ編成のアルバムはなかった。一度、トリオを聴いていみたい!
A"BROKEN TOY"
 LOCKEのオリジナル・バラード。ヴァイブとピアノのバランスが良くてお互いを引き立てている。
B"BITTERSWEET"
 ベーシスト・SAM JONESの書いた曲でジャズ・チューンとして良く取り上げられる佳曲。アドリブでは4ビートを刻み、ピアノ〜ベースと繋いでテーマに戻る。
C"I CAN'T MAKE YOU LOVE ME"
 @と同様にポップス曲。スロー・ロック風の演奏がピタリと嵌っている。意外とピアノとヴァイブの相性は良いのだと初めて気がついた。
D"THE MEANING OF THE BLUES"
 KEITH JARRETTが"STANDARDS"(JAZZ批評 321.)でも取り上げている佳曲。最近では、MICHEL BISCEGLIAが"SINGULARITY"(JAZZ批評 885.)で取り上げている。こういう曲が挿入されているのは嬉しい。
E"SIMONE"
 ベースが定型パターンを刻んだ後、ヴァイブとピアノが合流する。ここではFINCKのベース・ソロが用意されている。このベーシストは昔、STEVE KUHNの"DEDICATION"(JAZZ批評 304.)でもプレイしていたなあ。
F"THIS NEW OCTOBER"
 幻想的なヴァイブの音色でスタート。
G"MAKIN' WHOOPEE"
 少し気怠いような雰囲気とヴァイブの音色のマッチングがいいね。
H"DEDICATED TO YOU"
 これもしっとりした美しいバラード。音数少なめのCOHANのピアノに説得力がある。

ジャケットの写真から醸し出される雰囲気がそのまま音楽に乗り移ったような感じと言ったらいいだろうか?特に、1曲目の"AIN'T NO SUNSHINE"にはカッコよさもあってグイッと引き込まれてしまった。
久しぶりにヴァイブのアルバムを聴いたが、意外とピアノとの相性が良いので驚いた。本アルバムのRYAN COHANは良いピアニストだ。早速、ピアノ・トリオのアルバムでもないかと探したがなかった。残念!
サブタイトルに"BLUES & BALLADS VOL 1"とあるので、そのうち、VOL 2が出るのだろうか?などと考えながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2015.01.22)


試聴サイト:https://www.youtube.com/watch?v=kgzS3V9rZEo
        https://soundcloud.com/joelocke/sets/joe-locke-lay-down-my-heart-1
     



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