独断的JAZZ批評 901.

CHARLIE HADEN / JIM HALL
デュオっていうフォーマットは二人の緊密な会話が音になって具現化されないとアルバムとして生きてこない
"CHARLIE HADEN JIM HALL"
JIM HALL(g), CHARLIE HADEN(b)
1990年7月 ライヴ録音 (IMPULSE : 060253784 1837)


デュオ・シリーズ、第4弾。
今回は83歳で昨年亡くなったギターのJIM HALLと76歳で今年亡くなったベースのCHARLIE HADENとのデュオ。超ベテラン同士の組み合わせだ。
ギターとベースのデュオというと、今年、日本ではほとんど無名と言って良いギターリスト・ULF MEYERとMARTIN WINDの"AT ORPHEUS THEATER LIVE MAY 2012"(JAZZ批評 857.)を紹介しているが、これは大変素晴らしいアルバムだった。本年度のもっとも印象に残るアルバムの1枚に挙げたいと思っている。
対して、本アルバムは1990年録音の再発アルバムだ。THE MONTREAL INTERNATIONAL JAZZ FESTIVALにおけるライヴ録音となっている。リマスター時に調整したのか分からないが、ベースの音色がいただけない。電気的増幅音の強い音色で、これは興醒めだね。

@"BEMSHA SWING" これはアコースティックな音色とは言い難い。電気的増幅を施したベースの音色だ。ベースのソロではHALLはギターのバッキングも加えていない?!T. MONKの曲。
A"FIRST SONG" 
HADENのオリジナル。数多くのミュージシャンが取り上げる美しい曲だ。ブカブカしたベースの音色が緊張感を剥いでいる。
B"TURNAROUD" 
C"BODY AND SOUL" 
饒舌なHADENのベース・ソロが延々と続く。この人に長広舌のベース・ワークは似合わないね。あくまでも裏方に徹して主役を盛り上げるのが上手い人なのに・・・。
D"DOWN FROM ANTIGUA" 
E"SKYLARK" 
大好きな曲なんだなあ!フリーテンポのHALLのギター・ソロがしばらく続き、やがて、インテンポに。本アルバムでのHADENはやけに饒舌だ。その間、HALLはコードでバッキングするだけで丁々発止のやり取りがないのが残念。
F"BIG BLUES" 
ミディアム・テンポの4ビートを刻んでズンズン進む。もうちょっと刺激的なインタープレイを期待したいところだ。長いだけで面白みに欠ける。
G"IN THE MOMENT"
 アップ・テンポで始まるが無機質な印象の演奏だ。一回ポッキリのライヴならまだしも、CDになるとこういう演奏は繰り返して聴きたいとは思わない。

CHARLIE HADENの最高傑作というとPAT METHENYとのデュオ・アルバム"BEYOND THE MISSOURI SKY"(JAZZ批評 686.)を挙げたい。20世紀に録音されたベスト・アルバムのひとつと言っても過言ではあるまい。
対して、本アルバムは同じギターとの組み合わせだけど、"MISSOURI"ほどの濃密さや緊密感はない。デュオっていうフォーマットは二人の緊密な会話が音になって具現化されないとアルバムとして生きてこない。
そういう意味で物足りなさを感じるし、ベースの電気的増幅音はいかんともし難い印象を与えてしまった。   (2014.10.13)

試聴サイト : https://www.youtube.com/watch?v=9hh6q_RSlOk



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