独断的JAZZ批評 900.

KENNY BARRON / DAVE HOLLAND
流石というべきか、はたまた、当たり前というべきか・・・
"THE ART OF CONVERSATION"
KENNY BARRON(p), DAVE HOLLAND(b)
2014年3月 スタジオ録音 (IMPULSE : 0602537946617)


デュオ・シリーズ、第3弾。
今回はピアノの名手・BARRONとベースの名手・HOLLANDのデュオだ。
昨年の年間ベスト・アルバムにこのBARRONとHOLLANDのデュオ・アルバム"PARIS 2012"を選定した。そのアルバムはブートレッグではないかという少し怪しい輸入盤であったが、元はテレビ放送用に収録されたものであった。そのテレビ収録した画像を「参考サイト」として末尾に記載した。参考まで。
そのテレビ放送を観て感動したプロデューサーが企画してリリースしたのが本アルバム。世の中にはよく分かっている方がいるもんだと嬉しくなった。

@"THE ORACLE" HOLLANDの曲。良い曲だ。例によって、申し分のないアンサンブル。流石と言えば流石。当たり前と言えば当たり前。
A"THE ONLY ONE" 
BARRONの曲だが、曲想が、あたかもT. MONKの曲みたい。8小節交換の後、テーマに戻る。
B"RAIN" 
BARRONの書いたバラード。水も滴る「雨」 このしっとり感が堪らない。HOLLANDがテーマを執る。泣かせるなあ!
C"SEGMENT" 
今度はC. PAKERの曲。ミディアム・テンポの4ビートでズンズン進む。ピアノもベースもグルーヴィだ。流石、名手と呼ばれるだけのことはあるね。
D"WALTZ FOR WHEELER (DEDICATED TO KENNY WHEELER)" 
奇しくも、先月の18日に亡くなったWHEELERへの鎮魂歌となってしまった。録音が4月なので、「神のお告げ」でもあったのだろうか? 
E"IN WALKED BUD" 
T. MONKの曲。ドラムスの不在を感じさせない躍動感あふれる演奏だ。至極当然のように素晴らしい演奏を突き付けてくる!
F"IN YOUR ARMS" 
"PARIS 2012"の中にも挿入されていたHOLLANDのオリジナル・バラード。
G"DR. DO RIGHT" 
ラテン・タッチのHOLLANDの曲。
H"SEASCAPE" 
KENNY BARRON TRIOの"LEMURIA-SEASCAPE"(JAZZ批評 61.)でも演奏されているBARRONのオリジナル。軽快な曲でこういうのはBARRONのお手の物。
I"DAYDERAM"
 PARKER〜MONKときたら、最後はB. STRAYHORNの美しい曲で締めた。

流石というべきか、はたまた、当たり前というべきか、この二人にかかれば良くて当然という気がする。
敢えて言うならば、先に紹介した"PARIS 2012"と比較して、スタジオ録音の分、端正でお行儀の良い演奏になっている。まあ、「クール」と言っても良いだろう。
対して、"PARIS 2012"にはライヴ特有の「熱さ」がある。プレイヤーにもオーディエンスにも「熱気」を感じるのだ。
どちらを好むかはその人次第。僕の場合は、どちらかというと"PARIS 2012"を選びたくなる。ただ、このアルバムはブートレッグかも知れないので入手するのは難しいかもしれない。
そんなこんなではあるが、本アルバムも一級のデュオ・アルバムであることは間違いないということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.10.04)

試聴サイト : http://www.qobuz.com/gb-en/album/the-art-of-conversation-kenny-barron-dave-holland/0060253794718

参考サイト : https://www.youtube.com/watch?v=7sJrEmWio6c



.