独断的JAZZ批評 895.

GREG REITAN
何か食い足りない気分が残ってしまう
"POST NO BILLS"
GREG REITAN(p), JACK DARO(b), DEAN KOBA(ds)
2014年3月 スタジオ録音 (SUNNYSIDE : SSC 1395)


実は、GREG REITANは今回初めて購入したと思っていた。レビューを書き始めたら前作の"DAY BREAK"(JAZZ批評 718.)を購入していたことが分かった。何と印象の薄いプレイヤーだこと!
今までに購入したアルバムを覚えていないというのは滅多にあることではなかったので、自分でもちょっと驚いた。前作では「右手の指が良く動き回るという以外に特徴が見出せない」と酷評に近いレビューだったので覚えていないのも仕方がないか・・・。
本アルバムは"DAYBREAK"から3年ぶりのアルバムとなるが、メンバーに変わりはない。

@"THE MORNING OF A STAR" KEITHの書いた曲で、多ビートで面白みのない演奏だ。
A"ONE DAY I'LL FLY AWAY" 
良い曲だなあ!かつて、ジャズ・フュージョン界のピアニストとして鳴らしたJOE SAMPLEの書いた曲だ。KEITHがCHARLIE HADENとのデュオ"JASMIN"(JAZZ批評 627.)でも演奏している。こういう良い曲は音数少なめが有難い。
B"STELLA BY STARLIGHT" 
ベースのソロで始まるが、これが曲のテーマとしっくりこないのだ。ピアノが合流するあたりもしっくりしない。その後、高速のパッセージをREITANが弾き倒して、ドラムスへと繋いで終わる。
C"LONELY WOMAN" 
ORNETTE COLEMANの曲としても有名だが、こちらはHORACE SILVERの曲。静かなバラード。
D"SPRING" 
REITANのオリジナル・ワルツ。
E"I LOVES YOU, PORGY" 
このREITANはバラードの方がいいね。このしっとり感は良いと思う。アップ・テンポになるとテクニシャンの陥りやすい速弾きをしたがるのが惜しい。
F"WINDOWS" 
CHICK COREAの曲。ミディアム・ファーストの4ビートを刻んで進む。なかなか良い調子だ。
G"AFTER THE WAR" 
意味深なタイトルではあるが、神経科医でもあるピアニスト・DENNY ZEITLINが書いた曲だ。ミディアム・テンポのシンバルレガートがいいね。
H"POST NO BILLS" 
REITANのオリジナルで、アップテンポになると速いパッセージを弾きたくてしょうがないのだろう。悪い癖だ。無機質な感じのする演奏に終始する。
I"SOLITUDE" 


本アルバムは、前掲の長尺アルバム"JOY IN SPITE OF EVERYTHING"(JAZZ批評 894.)に比べると、総演奏時間がLP並の46分で、1曲あたりの平均がわずか4分台となっている。なんと前掲アルバムの半分の平均演奏時間だ。
聴いてみると、いつの間にか終わっていたという感じがしないでもない。その分、何か食い足りない気分が残ってしまう。演奏内容に何か満たすものがあれば短くても問題ないのだけど・・・。
お勧めはAとEのバラード。曲の良さと音数の少なさでグッド!
このグループにしかないものがあれば、それが強味となるのだろうけど、その期待は次回に回しておこう。   (2014.09.03)

試聴サイト :
 http://sunnysidezone.com/album/post-no-bills
          
上記のサイトでは3曲がフルに試聴できる。



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