独断的JAZZ批評 883.

KEITH JARRETT / CHARLIE HADEN
もしも4年前に"JASMINE"を購入しているのなら、わざわざ瓜二つな本アルバムを買う必要はないだろう
"LAST DANCE"
KEITH JARRETT(p), CHARLIE HADEN(b)
2007年3月 スタジオ録音 (ECM : 2399 B0020803-02)


CHICK COREAのアルバムの後ともなれば、ほぼ同じ時期に入荷したKEITH JARRETTのアルバムを紹介しないと片手落ちというもんだ。
本アルバムは新譜であって、新譜でないようなアルバムだ。
録音は2007年で今から7年も前。しかも、本アルバムとほぼ同時期に録音されたと思われる"JASMINE"(JAZZ批評 627.)は4年前の2010年にリリースされている。さらに付け加えると"JASMINE"でも演奏されている曲が2曲も入っている。録音年月が同じで、スタジオも同じだから、恐らく、同じタイミングで録音されたものの別テイクに間違いないだろう。
そんなアルバムを7年も経って、新譜としてリリースするECMのあり方にもクエスチョンマークの付くところだ。せめて、"JASMINE"と同時発売でも良かったのではないか?何を今更という感じがしないでもない。

@"MY OLD FLAME" 珍しく饒舌なHADENのベース・ソロがある。
A"MY SHIP" 
B"ROUND MIDNIGHT" 
テーマとは全然違う切り口でアプローチされる。
C"DANCE OF THE INFIDELS" 
アップテンポで一番賑やかな演奏。たまにはこういう演奏もないと眠くなってしまう。
D"IT MIGHT AS WELL BE SPRING" 
E"EVERYTHING HAPPENS TO ME" 
F"WHERE CAN I GO WITHOUT YOU" 
"JASMINE"にも挿入されていた曲。同じ時期に録音された別テイクにもかかわらず、"JASMINE"の方が音がふくよかで広がりがある。
G"EVERY TIME WE SAY GOODBYE" 
タイトルの"LAST DANCE"と言い、このタイトル、そして、次曲のタイトルなどHADENとの惜別を歌っているかのようだ。
H"GOODBYE"
 "JASMINE"にも挿入されていた曲の別テイク。メリハリのないドロンとした演奏だ。

もしも4年前に"JASMINE"を購入しているのなら、わざわざ瓜二つな本アルバムを買う必要はないだろう。"JASMINE"だけで十分!最近、紹介したPAUL BLEYの"PLAY BLUE"(JAZZ批評 880.)のアルバムといい、ECM商法には疑問符がついてしまう。
最後に、近年のCHICK COREAのアルバムと比較すると、COREAの方がタッチといい、独創性といい、瑞々しさといい、ずーっと素晴らしいということが分かった。
KEITHの今年の5月の大阪公演ではオーディエンスの度重なる咳に嫌気がさして演奏を何度も中断したと聞いた。KEITHはCOREAよりも4歳若い69歳というけど、焼きが回ったかな?   (2014.06.27)

試聴サイト : https://www.youtube.com/watch?v=iwNMHKx90tg
          https://www.youtube.com/watch?v=QIEX0tD2Kow



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