PAUL BLEY
結局、全曲フルに試聴できるサイトが一番安心できるということになるのだろう
"PLAY BLUE"
PAUL BLEY(p)
2008年8月 ライヴ録音 (ECM : 2373 376 6190)
最近はレコード会社のサイトでもアルバムの試聴ができるケースが多くなってきた。もしくは、YouTubeなどでプロモーション・ビデオを視聴できる場合もある。
「百聞は一聴にしかず」で自分の耳で確かめることにより購入を判断が出来るのは有難いことだ。レーベルによってはアルバム全部をフルに試聴できる場合もあり、この太っ腹加減には拍手を送りたい。当然のことだが、これによって購入したアルバムの成功率は大幅にアップしている。
本アルバムでは末尾にECMレコードの試聴用URLを記しておいたが、最初の1曲目だけが4分半ほど試聴できる。当然、それを試聴して購入したわけだけど、これには裏がある。試聴できる部分はなかなかの好演でこの調子なら全部良いに違いないと思って購入したのであるが、さにあらず。それはこの後で・・・。
①"FAR NORTH" 17分の長尺である。このうち冒頭の4分半を試聴できる。これが、かつてのKEITH JARRETTの"THE KOLN CONCERT"を思わせる雰囲気とノリで期待感を増幅させられるのである。
ところが、試聴時間の4分半が終わると、計ったようにその直後からアブストラクトの色彩が強くなっていくのだ。まさかこんな展開になるとはねえ！まさに、美味しいところだけ聴かせて、あとはどんでん返しってヤツなのだ。僕のように試聴の4分半を聴いて購入に結び付けたリスナーも多いのでは？
4分半聴かせるも17分聴かせるも同じようなものだと思うのだけど、ちょっと作為が過ぎるのではないか？もっとも、アブストラクが好きな人には関係のない話だけど・・・。そんなことがあって、僕の印象はすこぶる良くない。萎えるよね！
②"WAY DOWN SOUTH SUITE" というわけで、梯子を外された感じでやれやれという気分・・・と言いつつも、何回も我慢しながら聴いたのだけど最初の気分を払拭させるまでには至らなかった。15分と20秒。
③"FLAME"
④"LONGER"
⑤"PENT-UP HOUSE"
今や、ジャズの名門レーベルとも言えるECMでもこんなことがあるのかと正直、驚いた。作為的なものかどうかはよく分からないが、試聴時間が過ぎると計ったようにアブストラクトに急展開するのはいかがなものか？というか、どうせ試聴させるならアブストラクトの部分も含んで試聴できるようにすべきだったのではないか？試聴できる4分半がなかなか素晴らしものだっただけに騙し討ちにあった気分だ。
PAUL BLEY=難解、アブストラクトもありと認識している人には関係のない話だとは思う。
これは試聴サイトが万能ではないという戒めかも知れない。結局のところ、全曲フルに試聴できるサイトが一番安心できるということになるのだろう。 (2014.06.11)
試聴サイト ： http://player.ecmrecords.com/paul-bley--play-blue_oslo-concert
.
