独断的JAZZ批評 882.

CHICK COREA
マイナス面はあるものの、ここから流れ出てくる音楽の素晴らしさはそれらを超越している
"PORTRAITS"
CHICK COREA(p) 2014年5月リリース 
A TOUR OF CANADA, THE U.S. AND EUROPE  ライヴ録音
(CONCORD JAZZ : 0888072356030)

6月18日、よみうり大手町ホールでCHICK COREAのピアノ・ソロ・コンサートがあった。RETURN TO FOREVER以来、40数年ぶりに聴くCOREAの生ライヴであった。
本アルバムはその1か月以上前に入手していたのであるが、このコンサートを聴いてからレビューしようと思っていた。コンサートは期待に違わず素晴らしいものであったが、奥さんのGAYLE MORAN COREAや平原綾香がヴォーカルで参加したのは余計だった。そうは言っても、オーディエンスを上手に取り込み総立ちにさせるあたりはCOREAの術中に嵌った感じだった。
対して、5月に大阪であったKEITH JARRETTのソロ・コンサートではオーディエンスが何回も咳をしたとかで集中が切れ、演奏が度々中断されたと聞く。両者対極のコンサート姿勢が興味深くもあった。


DISK 1
①"IMPROV #1 / HOW DEEP IS THE OCEAN?" 
言わずもがなではあるが、COREAのピアノは生き生きとして瑞々しく、全てが躍動していた。73歳にしてこのピアノ!もう脱帽である。この素晴らしさは言葉では伝わらない。是非、聴いていただきたい。
②"WALTZ FOR DEBBY" 
③"PASTIME PARADISE" 
④"'ROUND MIDNIGHT" 
⑤"PANNONICA" 
⑥"BLUE MONK" 
⑦"DUSK IN SANDI" 
⑧"OBLIVION" 
⑨"THE YELLOW NIMBUS" 

DISK 2
①"PRELUDE #2/#4 (OP.11)"
ALEXANDER SCRIABINのこの曲は"TRIO MUSIC LIVE IN EUROPE"(JAZZ批評 50.)でも演奏されている。併せて聴いてもらいたいアルバムだ。
②"BAGATELLE #1/#2/#3/#4" 
③"CHILREN'S SONG #1/#2/#3/#4/#5/#9/#10/#11/#12" 
④"PORTRAIT #1/#2-KRAKOW" 
⑤"PORTRAIT #1/#2-CASABLANCA"
⑥"PORTRAIT #1/#2/#3/#4-EASTON, MARYLAND"
⑦"PORTRAIT #1/#2-VILNIUS"


本アルバム、曲ごとの解説が全く必要としない。ただ聴いていただければ、それで良いし、演奏内容については満点でしょう!「素晴らしい!」の一言。
ただ、いくつか不満がないわけではない。その一つが、2枚のCDいずれもトークが楽曲間に入っていること。COREA自身の解説付きなのであるが、これが邪魔なのだ。僕はひとつのアルバムを10回くらいは繰り返し聴くので、その度にこの解説を聞かされるのは堪らない。だから、トーク部分を削除してCD-Rに焼き付けて聴いている。
それと、昨年のベスト・アルバムにも選定した"TRILOGY"(JAZZ批評 820.)の「二匹目のドジョウ」を狙った感が強い。この手のアルバム作りでは「あざとさ」が光るUNIVERSAL MUSICのやることだから、さもありなん!
それと、本アルバムはベスト・セレクション集であるのだが、クレジットには録音された日時、場所が一切書かれていない。最低限の情報は記してもらいたいものだ。
兎に角、売れてしまえば何でも良いだろう的な安直さが気に入らない。
まあ、こういうマイナス面はあるものの、ここから流れ出てくる音楽の素晴らしさはそれらを超越しているということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2014.06.26)

試聴サイト :
 http://chickcorea.com/solo-piano/



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