| |||||
『宝島』['25] | |||||
監督 大友啓史 | |||||
ヤマのmixi日記 2025年10月07日23:03 沖縄には一度も行ったことがないし、ウチナンチュの知り合いもいないが、戦時戦後の苦難の歴史を仄聞することが多かったからか、1952年の♪マック・ザ・ナイフ♪から始まり、1972年の沖縄返還前までを描いた本作に映し出されていた出来事については、知らずにいたことは殆どなかった。そのせいもあるかもしれないが、劇的な割にヘンにシンボリックな造形が、スケール感はありつつも生々しさを欠く画面からくる淡白な印象を残すとともに、少々運びが重たく感じられ、残念な気がした。 戦果アギヤーから、姿を消した伝説のヒーロー、刑事、ヤクザと分かれて占領下を生きた三人の若者オン(永山瑛太)、グスク(妻夫木聡)、レイ(窪田正孝)を描くうえで、各自が負っている象徴性よりも関係性や心情のほうをきめ細かく描いてほしく感じた。『ミスティック・リバー』のように描き出せていれば、随分違ったように思う。その意味からは、物語においてウタという存在に負わせていたものを蛇足に感じた。ヤマコこと宮里真矢子(だったかな?)を演じた広瀬すずは熱演だったようには思うが、『遠い山なみの光』のほうがよかったような気がする。 それにしても、消息不明になってからも米軍を恐れさせた義賊のヒーローのような人物が戦果アギヤーのなかに実際いたりしたのだろうか。 *【コメント談義】2025年10月08日 00:22~ 10月09日 08:06 (ケイケイさん) そうよねー、みんな同じような感想ですよ、この作品。惜しいなぁ。私もすずちゃんは『遠い山なみの光』のほうが良かったです。彼女、若いというより、幼く見えるでしょ? それが魅力でもあり、健気に見えるんです。オンの女には見えず、妹みたいでしたよ。熱演だったけど、今回は繊細さより、骨太感のあるキャラだったので、荷が重い気がしました。 ヤマ(管理人) ◎ようこそ、ケイケイさん 瀧内公美の使い方も妙に浮いてたよねー。って、女優の話ばっか(笑)。 窪田正孝はよかったなぁ。脚本に書き込めてない部分を補って凄味があった。血塗れになってヤマコの家を訪ね、事もあろうに自分に包丁を向けられたことで今の自分が彼女からどのように観られているかを知って、自分たち四人は1952年の時点を原点とする戦果アギヤーの一味なんだというアイデンティティーが崩れる場面での彼は、なかなかのものだったように思ったよ。 日誌にする気が湧いてこなかったんで、早々に映画日記を拝読。なるほどの「薄い水割り」だね。僕が縷々書いたことを一言で示してて感心。火炎放射器のくだりに笑った。「想像力や行間を読ますのではなく。怒りを共にするため、目に焼き付ける描写が必要だった気がします」と「怨念」は、核心を突いていると思う。ウタの件も全くその通りだなぁ。ダニーと呼ばれていた「内地の男(木幡竜)」は、内地以上に日系二世の部分が大きいように思うけど、下手すると米軍の手先になった沖縄人かもと思わせる部分が未消化というか、すっきりしなかったなぁ。 (ケイケイさん) >ヤマさん、 でも瀧内公美、沖縄の当時の水商売の人に見えましたよ。この人、本当に作品によって顔が変わるんですよ。「阿修羅の如く」では、本当に綺麗なお姉さんで愛人っぽかったし、「敵」でも才色兼備のエレガントさんにうっとりしましたもん。彼女から比べたら、すずちゃんはまだ子供ですよ。私はヤマコは二階堂ふみが良かったな。 >窪田正孝はよかったなぁ。脚本に書き込めてない部分を補って凄味があった。 同感です。私も彼が一番良かったです。10代にして自分の背景を重んじ、アギヤーとして刑務所に入って、出てきたら尊敬する兄は失踪中。やくざになるしかなかったろうし、そしてやくざとして生きる、ある種潔さもない。最後までアギヤーだったのは、レイだけだったでしょう? その諦めの悪さが、とても切ないかったですね。 >なるほどの「薄い水割り」だね。僕が縷々書いたことを一言で示してて感心。 ありがとうございます。怨念は韓流でいえば「恨」ですかね? インスタでフォローしている沖縄のママさんがいるんですが、その人曰く、沖縄に移住して30年の隣人がいるけど、その人はまだ内地の人扱いなんだとか。偏狭な考え方だと思っていたけど、目の前で繰り広げられる争いを観ていたら、納得しました。 >ダニーと呼ばれていた「内地の男(木幡竜)」は、内地以上に日系二世の部分が大きいように思うけど、下手すると米軍の手先になった沖縄人かもと思わせる部分が未消化というか、すっきりしなかったなぁ。 沖縄の人たち同士も、血で血を洗う抗争した事が、「怨念」を引きずる大きな要因になったと思います。ダニーのような人たちのせいですよね。ムカムカして観ていたから、あのコザの暴動はすごく痛快でした。 私が友人と沖縄に行ったのは82年ですから、返還されてまだ10年ですね。那覇だけでしたけど、すっかりリゾート地でした。那覇とコザでは、だいぶ事情が違うのだと、そこも感じていました。 ヤマ(管理人) >ケイケイさん ヤマコ⇒二階堂ふみプランは、ウチナンチュ俳優なし配役で臨んでいたとみられる点からは、はなから選外だったんじゃないかな。瀧内公美の演じたチバナには、オン捜索を巡って、もっとしっかりドラマというかエピソードがあったはずなのに、すっとばしてキャラに負う形で登場させていたから、浮いているように感じた。コザ暴動の際の車の上に立ちあがっての雄叫びなんぞ、その最たるものでね。 先ごろ観た『ふつうの子ども』でもそうだったけど、たぶん脚本の高田亮の人物造形の仕方が僕の感覚と合わないんだろうなという気がする。 沖縄の「怨念」のところには、僕ではとうてい立ち入れないけど、深いものがあることだけは判る作品でしたね。 | |||||
編集採録 by ヤマ '25.10. 7. TOHOシネマズ5 | |||||
ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―
|