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『OK牧場の決斗』(Gunfight At The O.K. Corral)['57] | |||||
監督 ジョン・スタージェス | |||||
二年前に子供時分のTV視聴以来となる再見をBSテレビ東京録画で果たしつつも、あれだけCMを挟んで122分録画だったのだから、ざっと20分はカットされていることになるのでは観たとは言えないと、観賞記録から外していた作品をCMなしの122分録画で観る機会を得た。 二年前に「早々にリー・ヴァン・クリーフがカーク・ダグラス【ドク・ホリディ】のナイフ一撃で始末されていたり、クラントン兄弟の末弟をデニス・ホッパーがやってたとは、今回観るまで知らずに来ていた。ワイアット・アープだって、あれ? バート・ランカスターだったっけ?ってな調子。」とメモしていた部分は当然ながら織り込み済みで、『荒野の決闘』['46]の日誌に「『OK牧場の決斗』でのワイアット(バート・ランカスター)が惹かれる女賭博師ローラ(ロンダ・フレミング)や、ドク(カーク・ダグラス)の情婦ケイト(ジョー・ヴァン・フリート)の人物造形のほうが味があった」と綴った部分を堪能することが出来た。 牢に囚われても毅然としている気丈な女賭博師から“怯えた少女の顔”を引き出す恋心を指摘されて洩らすローラの「少女ではないわ」に籠っていたニュアンスに魅せられ、自堕落と純真の狭間を揺れ動くケイトの女心がいじらしく、決して不埒に映ってこないところに感心した。 だが、改めて本作は、労咳によって歯科医の職も家族も失い、酒と銃の日々に明け暮れていた無法者ギャンブラーたる“ドク”ことジョン・ホリデイが主役の作品だと思った。太く短く生き、借りも貸しも嫌でとりわけ借りは気が済まない誇り高き酔いどれが、唯一得た友であるワイアットに加勢して、己が元に戻って来たケイトを振り切り、死地に赴く。 彼女を挟んで対置されていたジョニー・リンゴ(ジョン・アイアランド)やら、安月給で割の合わない保安官という職を挟んで対置されていたワイアットとコットン保安官(フランク・フェイレン)を通じて、もっぱら“男の意地と誇り”、そして血縁だけに留まらぬ“兄弟仁義”なるものを描いていたように思う。ワイアットをプリーチャー【説教師】と呼んで親しむドクの“親身に飢えていた孤独”がそれを糊塗するダンディズムと意地となって表れているような気がした。 思えば、先ごろ観たばかりの『センチメンタル・アドベンチャー』['82]でのレッド・ストーバル(クリント・イーストウッド)には、本作でのドク・ホリデイが投影されていたような気がする。「あの酷い酒浸りもアル中というよりは胸の痛みを紛らわせる必死の策だったわけだ」と記した点も含め、キャラクター造形そのものに重なる部分が強いように思う。 | |||||
by ヤマ '23. 1. 3. BSプレミアム録画 | |||||
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