『サマーフィルムにのって』['20]
監督 松本壮史

 オープニングの校舎のカットに十年前の桐島、部活やめるってよを想起したら、まさに高校映画部のお話だった。こちらは、ホラーではなく、ラブコメ&時代劇。先ごろ放映終了したばかりの朝ドラのひなた(川栄李奈)以上に時代劇フリークの女子高生ハダシ(伊藤万理華)と気のいい仲間たちといった按配の作品だった。

 タイムマシンの持ち主がドクと呼ばれていたりしていて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を匂わす作品ながら、タイムトラベル的な部分での妙味があまり活かされていたとは思えず、「時をかける少女」ではなくて「時間の流れを断ち斬り止める少女」であることが示された設定がその場限りのネタに留まっていたり、カメラを止めるな!的な製作難儀に特に妙味があるわけでもないのに、けっこう面白く観たのは、遠い昔に過ごした“文化祭”の空気を感じたからだろう。ネットフリックスやウーバーイーツが出てきていたから、まさに現代なのだが、文化祭の感じは半世紀前のものと全く違いのない空気感だったように思う。今でも本当にそうなのだろうか。

 また、作中のハダシ監督と同じく、ラストでどう始末を付けようかと散々迷ったことの偲ばれる、まさにあ、UFOだ!私、行くね、天文部だしというビート板(河合優実)の台詞が可笑しかった。ハダシと凛太郎(金子大地)を二人きりにするために言ったこの台詞の示していた“取って付けた感”と共にある真情のようなものに重なる終いのつけ方の苦し紛れ感に、あの頃の四苦八苦感が出ていて良かったと感じられるエンディングだったような気がする。

 それにしても、スタッフ・キャスト、板橋駿谷のほかは、みな覚えのない人ばかりだった。手元にあるチラシによれば、東京国際映画祭で話題を集めた後、世界各国の映画祭での上映が続々と決まっていったのだそうだ。作中の映画部の監督は専ら女子中心というところが、いかにも今風だった。




推薦テクスト:「やっぱり映画がえいがねぇ!」より
https://www.facebook.com/groups/826339410798977/posts/4579426028823611/
推薦テクスト:「神宮寺表参道映画館」より
http://www.j-kinema.com/rs202108.htm#summer-film
by ヤマ

'22. 5. 2. 日本映画専門チャンネル「日曜邦画劇場」録画



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