『ブレット・トレイン』(Bullet Train)
監督 デヴィッド・リーチ

 予告編を観て、もうバイオレンス系はいいかなぁと見送りかけていたのだが、トンデモ日本が観られそうだという気がしてきて、残っていた夏休みを使って観に行くことにしたものだ。

 もはやインターナショナルどころかグローバルの時代になって、半世紀前の八十日間世界一周['56]や三十余年前のガン・ホー['86]のような珍妙ニッポンが拝めるとまでは思っていなかったのだが、妙に気になってきたのだった。

 それからすれば、トンデモ日本のほうは、さほどではなく当て外れだったが、呆気に取られるようなとんでもアクションの連続だった。まさにチラシに書いてあるとおり殺し屋しか、乗ってこねぇ。というような妙ちきりんな話で東京発、絶望行き。殺し屋レディバグの人生最悪な120分間。だった。

 だが、伊坂幸太郎原作らしい縁と軽妙さが殺し屋同士の関係にあってニンマリとし、タランティーノ風のスタイリッシュな画面構成にちょいと観惚れた。好みは大きく分かれるところだろうと思うが、僕が呆れつつも観惚れたのは、三池作品と違って血が飛び、首が飛んでも、グロっ気がなかったからだろう。

 圧巻は、やはり京都に突入してからの、吃驚するほかない派手な立ち回りと粉砕のような気がする。全てを観てきたウォーターボトルも転げ回るしかなくなっていた。それにしても、スクリーンに『弾丸列車』とタイトルがクレジットされる本作の邦題が何ゆえ『ブレット・トレイン』なのだろう。近年、ハリウッドでは中国に圧されて影の薄くなっていた日本だが、米中関係が難しくなり、日本回帰が出てきたのだろうか。

 伊坂幸太郎の原作では、サンドラ・ブロックの演じたマリア・ビートルが題名になってるようだが、映画では、最後に顔出し程度に出てきて高級車を壊されていただけだった。




推薦テクスト:「お楽しみは映画 から」より
http://takatonbinosu.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-29cf53.html
by ヤマ

'22.10.12. TOHOシネマズ1



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