間借り人の映画日誌 -『阪急電車　片道15分の奇跡』-

『阪急電車　片道15分の奇跡』

監督三宅喜重

ヤマのMixi日記 2011年05月03日15:29

　高知出身の原作者有川浩が地元新聞に連載していた『県庁おもてなし課』を読んで、そのふわっとしたライトな感覚とある種紋切り型の人物造形に飽き足りなさを感じていたから、少々見くびって臨んでいたことが作用しているかもしれないが、思いのほか面白かった。

　宝塚～西宮北口を約15分で結ぶ阪急今津線の１０月の往路と３月の復路で掬い取った女性たちの人生模様に、少女から娘、おばさん、おばあさんに至るまでの幅広い世代の女性の特質が、いいとこもヤなとこも、ややこしいとこも油断ならないとこも、健気なとこもかっこいいとこも、うまく掬い取られていて、ある種紋切り型にも映りかねない人物像の類型性を超えて、妙味を覚えることができた。

　エピソードの繋ぎ方が実に周到だったように思える脚本の功績なんだろうな。改めて女性というのは、コミュニケーションの生き物だと思ったりした。最後の翔子（中谷美紀）とミサ（戸田恵梨香）のような形での付き合い始めというのは、やはり女性的特質に支えられているようなところがあると思うとともに、同じ電車にしょっちゅう乗り合わせるローカル色というものが、僕からすれば、都会の電車というイメージの強い阪急電車を舞台にして描かれていたところが目を惹いた。

　ミサにつきまとうＤＶ彼氏カツヤ（小柳友）の携帯電話をポッキリ折捨てたミサの友人（相武紗季）が美味しいとこを持っていってたなぁ（笑）。

＊コメント

2011年05月03日 22:55
（ミノさん）
毎日のように西北を使い、この映画のポスターが貼られた車両を利用していると、食傷気味で観る気持ちもなくなりました（笑）。

女性がコミュニケーションの生き物だったら男性はなんなんでしょうね。

2011年05月04日 05:38
ヤマ(管理人)
あら、三宮ではなくて、西宮でしたっけ？ミノさん。
それはともかく、お尋ねの件は、僕は、男ってのは役割遂行の生き物のような気がしています。お務め動物ですよ（笑）。
女性は、お務めなんかなくても生きられるでしょ。男には、稼ぎをうむうまないはともかく、生業というものが要るように思いますね。
下記日誌↓参照（笑）。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~magarinin/2010j/14.htm

2011年05月05日 17:35
（ミノさん）
拝読。サイバラさんの「少しまともな人間は高知県から出ていく」って発言が好きじゃない（笑）。思ってても違う表現してほしいな。
やっぱりわたしはサイバラが苦手（笑）。

2011年05月05日 23:20
ヤマ(管理人)
いちど出て行って舞い戻るしかなかった僕などは、“少しまとも”ではなく、“やはり半端”なんでしょうな（笑）。

サイバラは、その「思ってても違う表現」ってので言えば、「本当は思ってないからその表現」だという気がしてますが、いずれにしても、そういう表現の仕方は僕の好むとことは違ってます。だから、僕もサイバラは実は苦手なんですよね。御本人と会う機会も得、一席設けられた場でも、ついぞ寄っても行かず、何も話すことなく過ごした覚えがあります（たは）。

しかし、なんでサイバラ？って思ったら、『ミエルヒ』の日誌にて言及してたんですな、僕。お読みくださり、ありがとう。男がなりわいの生き物というのには、御納得いただけましたか？（笑）

2011年05月06日 16:39
（ミノさん）
全然違うとこに食いついてすみません（笑）。

生業の件はイメージできました。つまり男性は、レーゾンデーテル、存在価値みたいなところで拠り所や居場所がないと生きられないんですな。

何故男性はそうなんだろうと考えると、女性=生産性(子を産む)の生き物だから、わざわざ生業なんか必要としないのか、となります。だとしたら子を産まない女性もまた生業を必要とするのかしら…
『八日目の蝉』につながるなぁ。

2011年01月12日 00:41
ヤマ(管理人)
いやいや、食いついていただけるなら、どこだって歓迎ですよ（笑）。

男が「存在価値みたいなところで拠り所や居場所」を欲するのは、まさにミノさんがおっしゃっているとおりのイメージで、僕も性差として感じてますねー。

でも、子を産まない女性が生業を必要とするというふうには思ったことがなかったような気がします。むしろ、生業を見出した女性が子を欲しなくなるといった感じのほうが強いように思いますね、僕のイメージとしては。
そういう意味では、子を欲しながら失った女性の物語である『八日目の蝉』にそういう女性たちにとっての“なりわい”が主題として浮かんできていなかったのは、ある意味、必然だったのかもしれません。

推薦テクスト：「一語一映」より
http://lawrenceco.exblog.jp/13699056/
推薦テクスト：「帳場の山下さん、映画観てたら首が曲っちゃいました。」より
http://www.k2.dion.ne.jp/~yamasita/cinemaindex/2011hacinemaindex.html#anchor002158
推薦テクスト：「イノセントさんmixi」より
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1844672263&owner_id=544696

編集採録 by ヤマ

'11. 5. 3.　ＴＯＨＯシネマズ２

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