『ブラック・ダリア』
監督 ブライアン・デ・パルマ


ヤマのMixi日記 2006年10月21日00:57

 人間誰も彼も一皮剥けばってな案配で、殺し・盗み・掠り・強請り、かれこれ、八百長二股までも入れれば、およそ犯罪に加担していない者など一人もいない因業さが妖しい雰囲気で綴られてて、変態色も色濃く、けっこう面白く観た。
 映画女優志望のエリザベスがベティと呼ばれたりしてて、レズビアンな見せ場が妖しかったり、オーディションってシチュエイションも出てくるものだから、これが原作通りならマルホランド・ドライブを撮るとき、デヴィッド・リンチはサンセット大通りのみならず、エルロイの原作もモチーフのひとつにしてたのかもしれないと思った。加えて、ラモーナの狂気には『サンセット大通り』のノーマが重なってもくる。
 持って回ったカメラの動きようも妖しく、あちこち興味深い作品で愉しめた。「B」&「D」の刻印なんて相当にヤバいよねー。


*コメント
2006年10月21日06:40 (ケイケイさん)
 その妖しさが、イマイチだったかと思うんですよ。一番の戦犯はヒラリーと思います。でも、ヤマさんくらい深く考察すると、面白い側面があるんですね(^^)。
 前にお笑いエロサスペンス(笑)、『ファム・ファタール』で、久しぶりにおじいちゃんの痴漢に合った話したでしょう? あの時、映画の前半でそのおじいちゃんはモヨオシタと思っていたんですが、この作品を観て、前の回に全編観て、おうちに帰る前にちょっと悪戯したくなったんじゃないかと、ふと思いました。きっとレベッカ・ローミンのおっぱい隠しストリップも観たと思うな(笑)。
 妖しさに関しては、お笑いエロにも負けていたかと思います(笑)。


2006年10月21日07:07 (TAKUMIさん)
 私もケイケイさんと同じく、妖しさがイマイチだったなぁ〜。自分の日記では「猥雑さ」と書きましたが、『ファム・ファタール』は好きだっただけに、ちょっと残念でした。
 確かにヒラリ〜には少しもエロを感じなかったな。カラダが貧弱でも(爆)『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングくらいのエロさを期待したいところ(笑)。
 究極のところでは、男より女の方がエロには厳しいのかもしれませんよ〜(笑)。


2006年10月21日07:09 ヤマ(管理人)
 妖しさと言っても、妖艶とか妖しさよりは妖怪みたいな妖しさで、猟奇的で禍々しい感じでしたね。不審的な怪しさよりも、おどろおどろしさというか因縁的なものが背後に潜んでそうな濃さのようなところが、僕に“妖しさ”という文字を使わせたような気もします(あは)。
 ケイケイさんが映画日記に「複雑ないくつかの事件が絡み合いますが、これがきちんと交通整理出来ておらず解り辛いです。なんか変だなぁと思いつつ進むという感じで、これはきっとこうなんだろう、あぁそうか、騙された、などなどこの手のサスペンスでの盛り上がり方が希薄」とお書きのところは、全くそのとおりだと思いました(笑)。だから、謎解きやストーリーを楽しむ作品ではなく、雰囲気を楽しむ映画なんでしょうね。それもエロっぽい雰囲気っつぅよりも因業な感じを。
 けど、珍しく、僕のほうが得な観方してるみたいだぞってちょっとほくそ笑んでます(あは)。
 『ファム・ファタール』は、高知まで来てないんですよねぇ(残念)。デ・パルマ作品は自主上映にもなかなか掛けられないから、ウッディ・アレン同様、観落としがけっこうあります(とほ)。


2006年10月21日07:19 ヤマ(管理人)
 あら、TAKUMIさんと擦れ違いになってる(たは)。
 TAKUMIさんがmixi日記にお書きの「悪く言えば饒舌」っていうのは、デ・パルマの常套ですよね(笑)。あのダレ感がデ・パルマ節を生むのだと本人が勘違いしてるんじゃないかって思われるくらい(笑)。
 それと、「男より女の方がエロには厳しい」というのは究極どころか、大前提ですね(笑)。とりあえず女性が現れただけでも、そこはかとなくエロスを感じられる前提のなかで、エロを楽しんでいるところが僕なんぞあるからなー(たは)。


2006年10月21日08:32 (TAOさん)
 ヒラリー・スワンクはエロくはなかったけど、妖しさならぬ「怪しさ」はありましたよねえ(笑)。おかあさんの大芝居にはたしかに『サンセット大通り』入ってたし。
 デパルマは猟奇殺人を撮ると、いい意味で上品さがにじみ出るなあと思いました(笑)。死体の見せ方にも節度があるでしょう。この人、やっぱり変態じゃないですね。当初の予定通りフィンチャーが撮ってたら、そうとうあぶなかったと思いますよ〜 。


2006年10月21日17:45 (ケイケイさん)
 ヒラリーの怪しさを生かすには、実は女装の男性だったというのは、どうですか? 倒錯度満点(笑)。私はフィンチャーより、リンチが浮かびました。ほれ、「世界イチ美しい死体」ですから(^^)。


2006年10月21日20:05 ヤマ(管理人)
 >TAOさん、ケイケイさん。
 ヒラリー・スワンク、実は、あのバックヌード&半ケツだけは、ちょっと目を惹いてたりして、僕(おずおず(苦笑))。
(吹き替えじゃないよね?(笑))

 で、マデリン、あやしい(敢えて漢字には変換しません(笑)。)と言えば、バイセクよりも何よりも、あのちょこっと思わせぶりに示していた父娘相姦の影のほうが、遙かにあやしくて、おいおい『ツインピークス』かよと(苦笑)。
 ですからもう、僕もフィンチャーよりゃ断然リンチってなもんですよ。ローラ・パーマーの如く美しい死体だとは到底思えない、変態度の低い代物でしたが、「世界一有名な死体」だとか言って惹句で『ツイン・ピークス』を偲ばせるのも、死体ってことよりもむしろ『マルホランド・ドライブ』や『ツイン・ピークス』を偲ばせるリンチ色からのような気がします。
 ベティはすぐに間違いなしと『マルホランド・ドライブ』を想起したのですが、併せてマデリンという名もあったと勘違いしたくらいで、帰宅して調べて誤りだと気づいた次第。ベティ=ダイアンでした(あは)。

 TAOさんじゃないですが、リンチもデパルマも変態志向や変態趣味はあっても、変態じゃないと僕も思いますね。フィンチャーやターセムとは、そこが違います(笑)。『殺しのドレス』だって、根底のところは至極真っ当だったような気がしてます。
(記憶がかなり薄れていてあやふやですが・・)

 ヒラリー・スワンクは、やっぱり『ボーイズ・ドント・クライ』が最強です(笑)。今回はそういうとこでは、確かに及ばなかったように思いますが、『マリー・アントワネットの首飾り』のときよりゃまだしもって(あは)。
 それよりスカーレット・ヨハンソンのほうが、そそるときと艶も華もないときの落差が一つの作品のなかでこれほど激しくていいのかと驚くくらいフォトジェニック的にも冴えないカットがいくつもあって残念でしたね。


2006年10月22日07:22 (TAOさん)
 >あのちょこっと思わせぶりに示していた父娘相姦の影
 そうそう、私も男装よりそっちに一票! バックヌード&半ケツもあれだけはいけると思いました。スカーレット・ヨハンソンには、デパルマはあまりそそられなかったんでしょうね。彼、脚フェチだからなあ。ナンシー・アレン、アンジー・ディキンスン、メラニー・グリフィス、レベッカ・ローミン…みんな脚がいいでしょ。
 リンチは、エルロイは読んでないと思いますが、ケネス・アンガーの『ハリウッド・バビロン』あたりで、ブラックダリア事件には関心をもっていたでしょうね。


2006年10月22日21:16 ヤマ(管理人)
 脚フェチって巨匠のたしなみ・心得みたいなとこがあるもんなんでしょうか(笑)。ブニュエルもそーだったし、そう言えば、先頃観たジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』も、そーゆーの気取ってたような気が…(苦笑)。
 それはそうと、エルロイの原作は、1987年なんですってねー。


2006年10月23日10:19 (TAOさん)
 ジャームッシュはガキんちょなので、脚フェチとは言えませんな(笑)。スレンダーなトムボーイとかロリータ好きでしょう、彼。
 真の脚フェチは、もっとメリハリのある大人の脚を好むんですよ。トリュフォーのように!


2006年10月23日12:40 ヤマ(管理人)
 うん、そのへんがジャームッシュの「たしなみ・心得」として気取ってるのかしらんと揶揄したくなる風情に繋がってたのかな(笑)。そー言えば、ジャームッシュ、今回は若いボーイッシュ系の娘出さなかったなぁ(笑)。
 デ・パルマは逆に、小娘って関心なさそうですね、確かに(笑)。
編集採録 by ヤマ

'06.10.20. TOHOシネマズ6



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