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『隠し剣 鬼の爪』をめぐる掲示板過去ログ編集採録 | |||||
TAOさん 「K UMON OS 」:シューテツさん 「神戸美食研究所」:タンミノワさん ヤマ(管理人) | |||||
書き込みNo.5001(2004/11/04 08:45)から
(TAOさん) ヤマさん、こんにちは。 ヤマ(管理人) ようこそ、TAOさん。 (TAOさん) さて昨日は、宿敵(笑)山田洋次を見てきました。 ヤマ(管理人) 実は、僕も既に観てるんですよ。 (TAOさん) ゆ、雪景色がいい! これだけでも脱帽です。 ヤマ(管理人) お、背を見せましたね(笑)。 (TAOさん) 私にとっては、ひさしぶりの永瀬正敏も期待通りでしたが、 ヤマ(管理人) 永瀬はよかったですね~。巧いよ、あいつ、確かに。 (TAOさん) 松たかこの声色のニュアンスの豊かさには、ちょっと参りました。 ヤマ(管理人) 松たか子もよかったですが、宮沢りえほどの艶が…(たは)。 (シューテツさん) ヤマさん、こんにちわ。横入り失礼します。 これ、同感ですね。f^_^;; ヤマ(管理人) ようこそ、シューテツさん。 シューテツさんも艶好みでいらっしゃいますか(笑)。 (シューテツさん) 多分…。女優の好みなどを検討した結果論として、そうみたい。f^_^;; ヤマ(管理人) 女性方が思っているほどには、男も若好みではないんですよね、実際の処は。でも、多くの女性たちが、それは違うと思ってるんでしょうけどね(笑)。 (TAOさん) いやいや、年齢のせいってことにしておけば、自分に魅力がないという事実と向き合わないですむじゃありませんか。 ヤマ(管理人) うわっ! きっついなぁ~。僕らからは、仮に思ってても言えないとこじゃないですか(笑)。 (TAOさん) 男たるもの、そういういじらしい(ずぼらな?)女ごころを察してあげないといけません(笑)。 ヤマ(管理人) 恐れ入りました、ひらに(笑)。 (シューテツさん) う~~ん、若好みとは限らないという問いには、答え難いなぁ~。やっぱ、若い人にも惹かれますからねぇ~(笑)。 ヤマ(管理人) お、シューテツさん、節操なくお若いじゃありませんか(喝采)。 (シューテツさん) 元々女性の好みに節操なんてない人間ですよ(爆)。それに自分が歳をとってきたせいもあるのでしょうね。 ヤマ(管理人) 確かに(笑)。 (シューテツさん) しかし、特に最近の女性は、中年といっても魅力的でお若いでしょ。 ヤマ(管理人) そうですねー。こっちが歳とってきてるんで、余計そう思えますし、ね。 まぁ、眼福は若い方のほうが優るのかもしれませんが、食指が動くとかそそられる気分とかってのとは違うような気がするんですよね、僕は(たは)。 (シューテツさん) 私の場合、最初から直接つき合う事なんて念頭にないですから、全ては眼福目的ですよ。f^_^;; ヤマ(管理人) いや、僕だってスクリーン観て、いちいち付き合うことを念頭に置いたりはしてませんよぉ(笑)。 (シューテツさん) あっ、今の話題は「年齢」ではなく「艶のある女性」の話でしたよね f^_^;;。私がいくらそういう女性が好きだといっても世の中難しいもので、そういう女性は、私の様な不器用な野暮天には最も縁遠いタイプの女性ですからねぇ。 ヤマ(管理人) それはお互い様ですって(笑)。『フリーダ』のリベラのようにはいかないのが普通ですよね。 (シューテツさん) そういう女性のタイプって、遠山の金さんではありませんが、大概粋でいなせ遊び人ってタイプが、まるでセットのようにくっついてますもんね(笑)。それとか、渋くてダンディーなタイプ(イメージはクラーク・ゲーブル)だとか、近作『2046』のジゴロ風のトニー・レオンだとか…。ということで、全く私とは接点のない憧れだけの女性ですね。 ヤマ(管理人) 要は、いかにもモテそうな者同士がセットになるってことですか。そうなんですかねぇ。そうとも言えるし、そうでないとも言えるくらいに、どっちの事例もありそうな気がするんですが、あまりリサーチしてないもんで、なんとも(笑)。 でも、実際にそうなんですかね。確かにそんなイメージは流通してますが、僕は、自分の視野に入る範囲で、誰と誰がくっついているとかってことに対する感度がめちゃくちゃ低いというか、自分に縁ないとこで詮索したり懸想しても仕方ないというか、ほとんど関心を向けないせいか、具体のものとしてそういう傾向を裏付けるような事例を自分の生きてきた経験のなかで得るには至ってないんですよ、実は(たは)。 (シューテツさん) いや、実際のことなんて私にも解かりませんし、調べた事もありません。あくまでも映画とか小説とかのステレオタイプというのか、固定イメージでのお話しです。 ヤマ(管理人) ですよね。流通しているイメージですよねぇ。でも、そういうのが案外、知らず知らずのうちに我が身に浸透してくるもんなんですよね~。違和感みたいな感じで、かなり自覚的に迫られるようなものが自分の内から生じてこないと、情報汚染というものには、なかなか抗えないもんですよね。 (シューテツさん) しかし、傾向的には大体そんな感じはしますけどね。それと、私自身の事については確実に縁遠いタイプだと言い切れますね(笑)。 まあ、今回の二人の場合、身分設定も違うので、「艶の差」は、仕方ないのかも知れませんが・・・。 ヤマ(管理人) そうそう、艶の話だった(笑)。確かに設定の違いというのもあるかもしれませんが、僕は、それよりも、二人の女優の人生経験の醸し出す味の違いじゃないかって気がしましたねぇ(笑)。 (シューテツさん) 確かにそうですよね。 ヤマ(管理人) ね、そうですよね。ここんとこなんですけどね~艶って(笑)。もっともただ歳を重ねりゃ、おのずとってもんでもないんですけどね。 (シューテツさん) それとか女優としての器の違いだとか…、まあそれを言っちゃぁ身も蓋も無いのでしょうけど(笑)。 ヤマ(管理人) そりゃあ、そうですよ(笑)。松たかこでは、僕は『四月物語』が一番ですね、今のところ。 (TAOさん) 松たか子は、これまでとりたてて好きな女優さんではなかったのですが、『隠し剣 鬼の爪』での声は、とうぶん耳に残りそう。 -------『たそがれ清兵衛』との類似点と相違点------- (TAOさん) それに、今回も原作は2作の短編でしたが、趣きのちがう2作をうまいぐあいに映画的に合体させたものだと感心しましたよ。 ふふふ、『たそがれ清兵衛』のときとはまるで評価が違うでしょう? これは作品そのものの出来よりは、私の学習効果によるものです。 ヤマ(管理人) 原作に拘泥することなく、映画は映画としてってことですね(笑)。映画としては、とてもよくできていて何の文句もない出来でした。でも、僕には、それ以上のものが宿っていたようにも思えませんでした。だから、作品的には『たそがれ清兵衛』のほうが好きだし、『隠し剣 鬼の爪』は、日誌も綴ってないんです(あは)。 (シューテツさん) やっぱり(笑)。観た人の殆どの方は『たそがれ清兵衛』との酷似を感じるでしょうね。 ヤマ(管理人) 僕は必ずしも“酷似”というふうには感じなかったんですが、シューテツさんが酷似とお感じになったのは、権力におもねらない片桐宗蔵(永瀬正敏)の人物像というとこでしょうね。僕のたそがれ清兵衛の人物像としての一番のポイントは、日誌にも綴ったように、そういう点よりも「“欲のない男”という形容がされていたが、僕の目には無欲どころか、凡欲の及ばぬ高貴な美学への貪欲さが凡欲を眼中から追いやっているように見えた」ところにありましたので、今回の片桐宗蔵とは必ずしも重ならなかったようです。無論、宗蔵もさもしさとは縁のない男でしたが、さもしさの断固たる拒絶を美学として自身に課しているようには特に思わなかったんですよね。 (シューテツさん) あっ、私が似ていると感じたのはもっと単純な話でして、物語の時代や舞台設定、物語の構成やらシチュエーションといった部分での発言でした。f^_^;; ヤマ(管理人) なんだ、そうでしたか(笑)。 シューテツさんのことだから、きっと、と深読みしちゃいましたね(苦笑)。 (シューテツさん) でも、瓢箪から駒ってことで、今回も色々ヤマさんから引出せて、発言した甲斐がありました(笑)。確かにヤマさんの仰る事は、私も感じていましたね。 ヤマ(管理人) フォローに感謝(笑)。でも、シューテツさんがそこんとこ飛ばすはずがないって感じですもん。 (シューテツさん) だから、清兵衛にはある種の憧れを感じましたが、片桐宗蔵には「いいヤツ」とは感じても、憧れまでには届きませんでしたからね。 ヤマ(管理人) そうなんですね。かっこよさの程度と質がちょい、違いますね。例の背を見せることの困難さをもう少しスリリングに描けば、よかったんでしょうかね? でも、それじゃあ基調を損ないますよね。 (シューテツさん) 私はあまりこの辺りは意識していなかったですね。 -------弥市郎の妻・桂の存在で表現されること------- (シューテツさん) どちらかというと、高島礼子がいまいちよく解からない存在でした。というか、彼女は凄く重要な役な筈なのに、彼女の死にそれほど悲壮感を感じられなかった。これって演出のせいなのか、キャスティングのせいだったのか、よく解からないのですけどね。 ヤマ(管理人) 僕は、どっちかというと演出者の思惑じゃないかと解してますね。でもって、そのことでニュアンスが膨らんだように受け取りました。 弥市郎の妻・桂(高島礼子)は、本当に夫を愛していて一体化したかったから、彼が一身に背負わされた屈辱と受苦を自分の身にも課することで、同化したかったんだろうと思いました。そういう意味では、夫の命乞いが叶わなくても、彼女の想いは成就しているわけで、だから、悲壮感が漂わなかったんだろうと思うのですが、そういうニュアンスを込めるために演出として悲壮感を排したのではないかと解してます。 (シューテツさん) なるほど、そういう観方もありですね。でも、やはり主人公は片桐宗蔵なので、そちらに感情移入している私は、父親の侮蔑にも堪えたのにあれで爆発するのか?って、ちょっとそんな気持になってしまいましたので…。f^_^;; ヤマ(管理人) なるほどね。でも、勿論あれだけじゃあないと思うんですよ。父親への仕打ち、親友への仕打ち、それらに加えてっていうのがあったはず。 父や友は、まだしも男ないしは侍の世界の住人で、言わば時と場合によっては、互いに殺し合わなくてはならないことも起こりうる世界だけれど、女に対してあのような踏みにじり方をするのは、男の矜持が許さないってことでしょ。宗蔵がきえ(松たか子)を強引に連れ戻したことにしても、惚れた女に対してだけ優しい、言わば、自己都合による略奪ではないってことを傍証するエピソードにもしているのだと思いますよ。 -------シリーズ作品に向ける目配せ?(笑)------- (シューテツさん) それと、こうした酷似した作品を続けて撮るっていうのは大概、やり残しとか前作で言い足りなかった事などがあると思うのですが、それも私としては掴みきれなかったです。こうした連作は、寅さんシリーズなどとは意味合いが全く別だと思うので、何かあるのでしょうけど、今ひとつ解り難かったですね。 なんなんだろう???。例えばラストで権力に一矢報いる映画的快楽なのでしょうか???。 ヤマ(管理人) 確かに必殺シリーズとは場面的に似てましたね(笑)。 連作のモチーフということで言えば、それは「矜持ある美しき日本男児」じゃないですかねぇ。 (シューテツさん) あっこれも、私が解り難いと言ったのは、何故立続けによく似た作品を撮ったのか? という点だったのですが、モチーフという点では確かにそうかも知れませんね。ヤマさんの言葉に「現在ほぼ失われつつある」と付け加えたいですけど f^_^;;。 ヤマ(管理人) モチーフのことじゃありませんでしたか、なんか、ハズシっぱなしだな~(苦笑)。 (シューテツさん) それと、解り難さとして決定的なのは、やはり「隠し剣」の存在そのものでしょ(爆)。 ヤマ(管理人) タイトルに偽りありというか、対決場面で「鬼の爪」を使わないんで、なんかはぐらかされたように思っていたら、そうか、そう来たかと僕は納得でしたよ。あれは暗殺剣なんで、哀れなテロリストと化した嘗ての友、狭間弥市郎(小澤征悦)を葬る技には適しませんよね。でも、その時点では、別に先読みをしたりはしていなかったので、そうか、そう来たかとむしろニンマリしたクチでした。 (シューテツさん) これって、この物語が人間ドラマとなるか、必殺シリーズとなるか、の反則スレスレの存在だったでしょ(笑)。あれのおかげで、ちょっと腰砕けのような気分になりましたもの。f^_^;; 「あんなのあるんだったら、もっと早くだせよ!」って…(笑)。 ヤマ(管理人) ちょっとしたサービスだったんじゃないでしょうか(笑)。必殺シリーズも松竹で映画化してましたし。 (TAOさん) まえに新聞で読みましたが、山田監督は、前作で藤澤作品を映画化したときに、「鉱脈をみつけた」と思ったそうです(じつは、この言い方、とても下品だと私はムッとしたのですが)。 ヤマ(管理人) なんかヒトヤマ当てた山師みたいですね(笑)。 (TAOさん) だから、まだまだこの「現在では困難になりつつある矜持ある市井の人&マドンナ」のシリーズは、続くでしょう。もともとシリーズ化や連作が得意な人ですし。 ヤマ(管理人) 御本人が脈と言ってて、興行的にも上々らしいし、続く気配ですね。そうなれば、寅さんシリーズのように、僕にとっての選択基準は、マドンナ次第ってことになるかも(笑)。 (シューテツさん) この辺りが私も気に入らないです。f^_^;; 確かに鉱脈と思うのですが、私はシリーズにはして欲しくないですね。少し前に寅さんシリーズとは意味合いが違うといったのは、個人的に寅さんにはシリーズ化が許せるが、こちらでは許せないということです。それは、シリーズ化により、映画の品格というか品性が落ちて行く懸念からですね。 ヤマ(管理人) そうなっちゃ元も子もないですよね。だって、シリーズ化と言っても、品性と品格を訴える映画をシリーズ化してそうなっちゃ本末転倒ですからね(笑)。ま、山田洋次の手腕なら、そうはならないと思うのですが、興行的にお客さんが付いてきてくれるかどうかだという気がします。 (シューテツさん) でもまあ、私としてはこの作品も好きですし、やはり文句は何もないです(笑)。 ヤマ(管理人) 同感ですね。緒形拳[家老の堀将監]も田中泯[戸田寛斎]もよかったですしね。 (TAOさん) なにかとうるさい私のことですから、いろいろ文句はあるのですが(笑)、そういうのは宮崎アニメを見るときの要領で、無視できるようになっているのです。 ヤマ(管理人) コツを体得されたんですね。なら、師は、戸田寛斎ならぬ宮崎駿?(笑) (TAOさん) この境地になれれば、もう山田洋次もこわくありません。もはや免許皆伝にて「隠し剣」を授けられたも同然(笑) 。 ヤマ(管理人) 必殺シリーズの技として、次々と手に掛けていって観ますか?(笑) (タンミノワさん) お久しぶりです。タンミノワです。 ヤマ(管理人) ようこそ、タンミノワさん。 (タンミノワさん) ここで話題の『隠し剣 鬼の爪』は、行く気にも全然なっておりません(笑)。前作の「たそがれ」は好きだったんですけどねえ・・ ヤマ(管理人) はれま、そうなんですか。いい作品ですよ。僕は『たそがれ清兵衛』のほうが好きですが、これも文句のない出来だと思ってます。 (タンミノワさん) やはり酷似した作品を続けるっていうのには、余り食指が動かないようで・・ ヤマ(管理人) 初もの好きなんですね(笑)。 (タンミノワさん) 同じ唄を歌うにしても、全然違うように唄っているのが聞きたいと思ってしまうわけですよ。 ヤマ(管理人) みなさん、わりと同じみたいに受け取っているようですが、僕はそうでもなかったんですけどね。 とはいえ、藤沢ものシリーズとかって定型化の部分は確かにあるわけで、そういうところでの鮮度は落ちていくかもしれませんがね、僕にしても。でも、矜持の周平、人情の周五郎って物凄く乱暴なカテゴライズすると、僕は当然のように前者のほうにより惹かれますし、山田洋次が周五郎ではなく周平を選んだことには快哉をあげます。 | |||||
by ヤマ(編集採録) '04.10.30. 松竹ピカデリー2 | |||||
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