鹿児島県生活科・総合的学習教育研究協議会
と ん ぼ 便 り     成見和總 「鹿児島純心女子大学『理科教育法』」(非常勤講師)
「加治木看護専門学校&鹿屋看護専門学校『生物学』」(非常勤講師)
「日本理科教育学会」&「日本生活科・総合的学習教育学会」(地域世話役)
「鹿児島県生活科・総合的学習教育研究協議会」(名誉顧問)
「国際トンボ学会」&「日本トンボ学会」(自然保護推進委員)
「かごしま環境未来館講師派遣事業」(講師)
「県環境学習指導者人材バンク登録者」


とんぼ便り No.374 2014年6月下旬号

梅雨の最中  梅雨の最中,我々人間にはうつとおしい日々とはいえ,万物とりわけ植物そしてトンボを中心とし水生動物にとっては,高温多湿の最高の成長(庭の草木や野菜の棄や花・実のみならず水生動物の日々のスゴイ生態変化の速さで実感)の季節を迎えています。学友各位には,益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 私は,前号の通り「年度始め各教委&各関係知友学校等表敬訪問」を一段落して,現在はかつてお世話になり今尚現役モドキ(鹿児島純心女子大学「理科教育法」&加治木・鹿屋看護専門学校「生物学」非常勤講師)の『理科教育』とりわけ「里地・里山」を中心とした「郷土教育」の立場からの『環境教育』に取り組んでいます。
 今回は,1.6月主要行事報告(コメント)と6月後半・7月主行事,2.「郷土教育,環境教育,里地・里山観」・3.「県理教『大島地区大会』事前研修会」・4.トピックス「藺牟田池ビオトープ『初ホソミイトトンボのO型三連結』」資料をお届けします。例の如くの勝手気ままな駄文ですがご笑覧いただき,ご批正・ご指導を賜われば幸甚です。

1, 6月前半の主要行事報告&6月後半・7月主要行事予定 6月前半の主要行事報告
(1)6/06 田上小公開研究会」
   「明日をたくましく生き抜く『思考力・判断力・表現力を育成する授業の創造Ⅰ』
       ~個の「思考スキル」を高め,学びを深める授業~」
「生きる力」・「活用能力」・「個のスキル」等,時宜にかなった研究テーマである。
例年のことながら具体的で,授業に活かそうとするきめ細やかな心遣いが印象的。 
「日本生活科・総合的学習教育学会」田村学学友(文部科学省教科調査官)の全体講演「いかにすれば,今,求められている 思考力・判断力・表現力を高められるか」(3月に「鳥栖市」でお会いしたばかりだったが)も楽しみであった。
 予想通りのグローバル・アカデミックな広く・深いそして具体的な分かりやすい『講話』であった。しかし頂いた便り(私信)では,「鹿児島ではお世話になり有難うございました。生活・総合をもう少しPR出来れば良かったのですが・・・。次の機会には頑張ります。」(本文のまま),と若干要望への反省も・・・。
*ここで留意したいのは,全国的に研究テーマとして最も多く取り扱われており,今回も「研究テーマ」&「講演テーマ」の中心に据えられた活用能力としての『思考力・判断力・表現力』の捉え方である。当校&講演の提案を参考にし,この際老婆心ながら私なりに全国の傾向を踏まえ要約しておきたい。

① 日常的・常識的に考えて,いかなる発達段階・いかなる教科であっても,「思考力・判断力・表現力」は存在するし育てたい能力である。
② 文科省では,「思考力・判断力・表現力」を目標(問題解決・生き方育成等)をよりよく達成するための『一連の能力:連語』との解釈みたい。
③ 解釈に若干の違いがあるのではないか?
O 教科によって観点別評価規準に,「思考力・判断力・表現力」と「思考力・表現力」の2種類があるのは?
O 『思考力』の解釈の中には,「人間の知的作用の総称」&「感性や意欲と区別して概念・判断・推理」などのように『思考力』の中に,判断力を含むものがあるみたい。
O 「理科」では,『判断力』を「物事を認識し,評価し,決断する精神的能力」&「問題解決に際して,いくつかの選択肢を用意して,その中から最適な選択肢を選んで自分の意思決定を行う:価値判断を伴う意思決定能力」などと,若干高次な精神活動(?!)と捉え,観点別評価規準では高等学校で初めて取り入れている。このことは『生活科』でも,未分化な発達段階ということで最初の段階から観点別評価規準の『判断力』を省いている(知識・理解も気付き)
O 小学校の各教科によって「思考力・判断力・表現力」,とりわけ『判断力』が観点別評価規準としてあるものとない教科が存在することは,教科の特質や解釈の違いがあるからではないだろうか?いかが?
(2)6/07
「KKBテレビ『里地・里山』特集番組」鹿児島市トンボ関係現地収録同行補足映像取材であったが,「里地・里山の象徴ともいえる日本最小のハッチウトンボの生態(縄張り行動)」・「成虫越冬種のホソミオツネントンボの産卵」・「リュウキュキュウベニイトトンボの交尾」・「オオシオカラトンボの羽化」生態等,梅雨の最中『生命の営み』の素晴らしい姿の撮影の好機を得た。
(3)6/11~13
「県理教大島地区大会成功祈願奄美大島全島駆け足の旅」(「第7回実行委員会(事前研修会)」・「講演会」・「トンボ相調査」   *別添資料2参照
*要請もあって2月に続き,かつて「大島教育事務局理科担当指導主事」としてお世話になったささやかなご恩返しになればとの想いから老婆心ながらのボランティア活動であった。新旧学友との邂逅&自然との対話も楽しみであった。とりわけ6/12pm7:00~10:00迄の30名近い「大島全島から集まった理科学友」の熱心な討議の姿に,「奄美理科教育健在!県理教大島地区大会盛会!」を実感しホッとし喜ぶことだった。貴重な時間を40分いただいて,お話することだった。
(4)6/11
「地域退職校長会学校訪問」武岡小・武岡台小,
   6/17 田上・武小,6/18広木小
(5)6/13
「KKBテレビニュース『鹿児島市里山のトンボ』」*ハッチョウトンボの縄張り行動,イトトンボの産卵・交尾生態映像は貴重であろう。ニュース番組への取り扱いと本番6/21「特集『鹿児島の里山』」の導入にはなったみた いで少しは協力出来たかなと喜びホッとする。6/21の放映が楽しみである。
6月後半主要行事予定
(6)6/20「鹿児島市退職校長会理事会」(鹿児島市教育総合センター)
(7)6/21「KKBテレビ『鹿児島の里山特集』(12:00~13:00)放映」必見!
     「鹿児島生活科・総合的学習教育研究会」6月例会(大龍小学校校区公民館)
(8)6/22「第20回広木校区青少年健全育成推進委員会」(広木小体育館)
(9)6/27次年度「県理教大隅地区大会『事前研究会』」(講話)
7月主要行事予定
(1)7/03・04『県理教大島地区研究大会』
(2)7/05「『親子自由研究』研修会」(附属小PTA主催)
(3)7/06「『親子自然観察(採集)会』」(附属小PTA主催)

◆おまけ資料 (1)「私の郷土教育&環境教育&里地・里山観の基盤」資料 *別添資料1参照
(2)「郷土教育『郷土素材の教材化』」:「県理教大島地区大会事前研究会」 *講話資料  *別添資料2参照
(3)トピック「初ホソミイトトンボの『O型3連結』」   *別添資料3参照

      時節柄,御身ご自愛の程。お会いしたいものですね。
      日頃のお礼に,近況報告駄文『とんぼだより』No.374お届けします。
(極楽トンボ)

◆別添資料 ◆別添資料1「私の『郷土教育,環境教育,里地・里山観』基盤」
1 郷土教育(*県教育行政の重点施策)
  (1)「教育基本法」改訂の目玉
    ① 公共心(思いやり)
    ② 自然・生命の尊重,環境保全
    ③ 伝統・文化の尊重(我が国と郷土を愛する心情)
  (2)県教育行政の重点施策(郷土教育:郷中教育・自立自興運動)
    ①「郷土を知り,愛し誇りに思い,郷土の発展に尽くす!」
    ②「泣こかい 跳ぼかい 泣こよっか ひっ跳べ!」  “チェッスト イケ!”
     「やるならやるで しゃんとやれ!」
     “負けるな 嘘を言うな 弱いものをいじめるな!”
    ③「古への 道を聞きても 唱えても わが行いに せねばかひなし!」 
     “我が胸の燃ゆる思いにくらぶれば 煙はうすし桜島山”
   (3)郷土素材の教材化:郷土を!郷土で!の意義
    ①発達教材としての郷土素材(母体的環境・原体験) 
    ②問題解決能力の育成(学校と地域とのギャップ・知の汎用性)
    ③生き方の育成(社会的能力,価値観・学び方・生き方・倫理観)

2 環境教育
  (1)「教育基本法」改訂の趣旨 1の(1)参照
  (2)「人間も自然の一員也!」「自然は偉大な教師也!」
     共存 → 共生 → 共栄
     保護   保全   管理
     3R運動      +     3K運動
      ①大量生産→Reduce      感じて
      ②大量消費→Reuse       考えて
      ③大量廃棄→Recycle      行う
  (3)Thinc Globally,Act Locally!

3 里地・里山 
  (1)昔の日本名:瑞穂の国&秋津島
    ①“瑞穂の国”日本民族は稲作文化:田圃;里地・里山
    “兎追いかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今も巡りて 忘れ難き故郷”“春の小川”
    ②“秋津(蜻蛉)島”日本列島はトンボの国(古事記・日本書紀)
    “夕焼けこやけの 赤トンボ 追われて見たのは 何時の日か”
    ③田圃・畑・川・池・山・家
  (2)恵まれた鹿児島の自然の特徴
    ①南北600km,黒潮巡る“島しょ県”
    ②霧島火山帯,姶良カルデラ・活火山桜島を誇る“火山県”
    ③霧島・錦江湾,屋久島国立公園,照葉樹林の醸し出す澄んだ空気“宇宙県” 
  (3)里地・里山の呼び戻し             *生物(環境)多様性!
    ①ビオトープ:例「藺牟田池のベッコウトンボ」   *最も積極的な環境保全策!
           非常事態(渇水)対策・見学者用・観察者用
    ②休耕田・棚田:例「岳の池休耕田ビオトープ」(鹿児島メダカの学校)
           「人間の関わったことは最後まで責任を!」
    ③人間は“自然保護→環境保全→環境管理者”の傍観者・批判者でなく中心者に!